東川斎桂山筆 不動明王二童子像   1幅

  • 東川斎桂山筆 不動明王二童子像
とうせんさいけいざんひつ ふどうみょうおうにどうじぞう

市指定重要文化財
所有者 個人
   (平塚市博物館寄託)
指定 平成28年2月3日
材質及び形状 紙本着色
縦 110.6cm 横 42.8cm

 本図は、平塚市上吉沢の旧家で、30年程前、家の蔵を整理したところ発見された。平成25年に平塚市文化財保護委員による調査で東川斎桂山(とうせんさいけいざん)筆の掛幅であることが確認された。 
 本画には、画面向かって右下には「東川斎 桂山拝畫」という墨書と白文方印「桂山」朱文方印「東川斎之印」といった二箇の印章が認められた。こうした落款印章は、既に平塚市指定重要文化財となっている、東川斎桂山藤原美信(ふじわら よしのぶ)の作品と一致するものである。更にそれらに共通する絵師の描法には、本図と相似する悪の強い筆癖が指摘されている。
 大きさは、縦110.6cm×横42.8cmで、燃えさかる火炎を背に、右手に剣、左手に羂索を持す不動明王を岩座に立たせ、岩下には蓮華を持つ恭敬小心者の矜羯羅童子(こんがらどうじ)と、五鈷杵(ごこしょ)と棍棒(こんぼう)を持つ悪性者の制多迦童子(せいたかどうじ)を海波上に描いている。不動尊は七髻で頭頂に蓮華を頂き、身は青黒く、額に皺を寄せ、天地眼で牙を上下にはやし、矜羯羅(こんがら)の身色は肌色、制多迦(せいたか)は赤色で、三尊ともに、瓔珞(ようらく)などの装身具や武器といった持物には金泥を用いて荘厳にしている。その図像は、概ね通例の安然様(あんねんよう)不動十九観と一致するもので、立像である点や、やや誇張されて通俗的な面貌描写などは、近世期不動明王像に多い表現である。
 東川斎桂山藤原美信は、江戸時代末期の天保九年(1838)から十年前後にかけて、平塚市に逗留し、主に仏画を中心に制作していた絵師であることが、市内に現存する作品や伝承より認められている。本図もまた、近世仏画の持つ一種通俗的な表現を示す点や他の作例との相似性から勘案して、ほぼ同時期に製作されたものと推測される。
 本図は、不動明王二童子像の近世的展開を跡づける典型例として貴重であるとともに、江戸時代末期における平塚市域の文化状況を伝える資料として貴重なものである。
 

注意

  • 現在、当文化財は平塚市博物館にてお預かりしております。
  • 当文化財は常設展示しておりません。

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