【1ページ】 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律  障害者差別解消法が制定されました。  障害を理由とする差別の解消を推進することにより、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、「障害者差別解消法」が平成25年6月26日に公布されました。(平成28年4月1日施行) 【2ページ】 障害者差別解消法とは  この法律は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項や、国の行政機関、地方公共団体等及び民間事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置などについて定めることによって、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につなげることを目的としています。 概要  この法律では、主に次のことを定めています。 1国の行政機関や地方公共団体等及び民間事業者による「障害を理由とする差別」を禁止すること。 2差別を解消するための取組について政府全体の方針を示す「基本方針」を作成すること。 3行政機関等ごと、分野ごとに障害を理由とする差別の具体的内容等を示す「対応要領」・「対応指針」を作成すること。  また、相談及び紛争の防止等のための体制の整備、啓発活動等の障害を理由とする差別を解消するための支援措置について定めています。 障害を理由とする差別とは?  障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為をいいます。  また、障害のある方から何らかの配慮を求める意思の表明※があった場合には、負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮(以下では「合理的配慮」と呼びます。)を行うことが求められます。こうした配慮を行わないことで、障害のある方の権利利益が侵害される場合も、差別に当たります。 ※知的障害等により本人自らの意思を表明することが困難な場合には、その家族などが本人を補佐して意思の表明をすることもできます。 ●障害を理由とする不当な差別的取扱い(例) 障害を理由として、サービスの提供や入店を拒否してはいけません。 ●合理的配慮(例) 筆談や読み上げなど、ちょっとした配慮で助かる人がいます。 社会的障壁とは?  障害のある方にとって、日常生活や社会生活を送る上で障壁となるようなものを指します。 1社会における事物(通行、利用しにくい施設、設備など) 2制度(利用しにくい制度など) 3慣行(障害のある方の存在を意識していない慣習、文化など) 4観念(障害のある方への偏見など) などがあげられます 例 街なかの段差 3センチ程度の段差で車椅子は進めなくなります。 例 書類 難しい漢字ばかりでは、理解しづらい人もいます。 例 ホームページ すべて画像だと読み上げソフトが機能しません。 【3ページ】 本法のポイント「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の不提供」が禁止されます ※民間事業者における合理的配慮の提供は、努力義務となります。 国の行政機関・地方公共団体等 禁止:不当な差別的取扱いが禁止されます。法的義務:障害者に対し、合理的配慮を行わなければなりません。 民間事業者 禁止:不当な差別的取扱いが禁止されます。努力義務:障害者に対し、合理的配慮を行うよう努めなければなりません。※民間事業者には、個人事業者、NPO等の非営利事業者も含みます。 障害者差別解消法Q&A Q.「合理的配慮」の具体的な例を教えてください。   A.典型的な例としては、車いすの方が乗り物に乗る時に手助けをすることや、窓口で障害のある方の障害の特性に応じたコミュニケーション手段(筆談、読み上げなど)で対応することなどが挙げられます。どのような配慮が合理的配慮に当たるかは個別のケースで異なります。 Q.日常生活の中で個人的に障害のある方と接するような場合も、この法律の対象になるのですか。また、個人の思想や言論も規制されるのでしょうか? A.個人的な関係や、思想、言論といったものは対象にはしていません。この法律では、国の行政機関や地方公共団体、民間事業者などを対象にしており、一般の方が個人的な関係で障害のある方と接するような場合や、個人の思想、言論といったものは、対象にしていません。 Q.民間事業者による取組がきちんと行われるようにする仕組みはあるのでしょうか? A.民間事業者の事業を担当する大臣から、事業者に対して報告徴収、助言・指導、勧告を行うことができます。  この法律では、同一の民間事業者によって繰り返し障害を理由とする差別が行われ、自主的な改善が期待できない場合などには、その民間事業者の事業を担当する大臣が、民間事業者に対し、報告を求めることや、助言・指導、勧告を行うことができることにしています。 基本方針と対応要領・対応指針  基本方針とは、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するために作成するものであり、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策の基本的な方向等を定めるものです。  また、「対応要領」・「対応指針」は、行政機関等ごと、分野ごとに定められるものであり、当該行政機関等、当該分野における障害を理由とする不当な差別的取扱いになるような行為の具体例や合理的配慮として考えられる好事例等を示すものです。 【4ページ】 相談や紛争解決の仕組みについて  障害のある方からの相談や紛争解決に関しては、すでに、その内容に応じて、例えば行政相談委員による行政相談やあっせん、法務局・地方法務局・人権擁護委員による人権相談や人権侵犯事件としての調査救済といった、さまざまな制度により対応しています。この法律では、すでにある機関の活用などにより、その体制の整備を図ることにしています。 障害者差別解消法Q&A Q.行政機関が「不当な差別的取扱い」を行ったり「合理的配慮」を行わないときの相談窓口はどこですか? A.その行政機関の苦情相談等窓口等にお申し出ください。 行政機関の職員の対応に問題がある場合などは、まずは、その職員が所属する行政機関の苦情相談等の窓口に申し出ることが考えられます。そのほか、例えば、行政相談委員による行政相談や、人権に関わる相談であれば法務局や地方法務局などに相談することも考えられます。 Q.雇用における障害のある方に対する差別も、この法律の対象になるのですか? A.雇用については、障害者雇用促進法に定めるところによります。雇用の分野における差別については、相談や紛争解決の仕組みを含め、障害者雇用促進法に定めるところによります。 障害者差別解消支援地域協議会について  障害を理由とする差別に関する相談や紛争の防止、解決の取組を進めるため、国や地方公共団体の機関が、それぞれの地域で障害者差別解消支援地域協議会を組織できることにしています。  協議会が組織され、関係する機関などのネットワークが構成されることによって、いわゆる「制度の谷間」や「たらい回し」が生じることなく、地域全体として、差別の解消に向けた主体的な取組が行われることをねらいとしています。 組織イメージ図:障害者差別解消地域協議会の構成員としては、1国の機関(地方紙分部局等)2地方公共団体の機関(例えば保健所、障害者施策担当部局、福祉事務所など)、3NPO法人、学識経験者、その他必要と認める者(例えば事業者など)が法律上挙げられています。この図では、これらの構成員を円でつないで示すことにより、協議会を通じてこれら相談機関等のネットワークの形成を表現しています。 内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付 障害者施策担当 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎8号館 代表:03-5253-2111 Fax:03-3581-0902 ホームページ http://www8.cao.co.jp/shougai/index.html