第2章  障がい者福祉の現状 第2章 障がい者福祉の現状 1 人口の推移と予測 本市の総人口は、2度のベビーブームや産業の発展などに伴う転入により増加を続けてきましたが、平成22年11月の26万863人をピークに減少傾向に転じており、平成31年1月1日現在では、25万7,879人となっています。「日本の地域別将来推計人口」では、平塚市の人口は今後も減少していくものと推計されており、人口減少への転換期に入ったことがうかがえます。 本計画の最終年度の翌年となる令和7年には、平成31年と比べて10,000人程度の減少になると推計されています。                               2 障がい者数 (1)障がい者総数 平成31年4月現在の全国の障がい者人口は、9,635,000人と推計されています。障がいの種類別の内訳は、身体障がい者が4,360,000人、知的障がい者が1,082,000人、精神障がい者が4,193,000人です。一方、本市の障がい者人口は平成31年4月1日現在、14,709人と推計しており、総人口の5.7%を占めています。障がい種類別の内訳は、身体障がい者が8,138人、知的障がい者が1,980人、精神障がい者が4,591人です。また、この他にも障がいの認定は受けておらず、日常生活など生活上に支障を感じている人も相当数いるものと考えられます。なお、障害者基本法における障がい者の定義は、身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がいがある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとされています。本項では、統計上、身体障害者手帳交付者数、知的障がい児者把握数及び精神障害者保健福祉手帳交付者数を表記していますが、本計画が対象とする「障がい者」は、障害者基本法の定義と同様です。     (2)身体障がい者 本市における障がい程度別の身体障がい者人口は、平成30年度末現在で8,138人です。身体障がい者人口は、平成20年度と比べ5.4%増であり、10年間で420人増加しました。障がいの程度別では、1級が最も多く3,009人であり、次いで4級の1,726人となっています。特に1級の増加が他の等級に比べて顕著となっており、障がいの重度化の傾向が見られます。一方、障がいの種類別では、肢体不自由が最も多く4,244人であり、次いで内部機能障がいの2,670人となっています。障がいの種類の中では、特に内部機能障がいの増加が顕著となっています。令和6年度における身体障がい者人口を推計したところ、8,832人と平成30年度と比較して240人の増加(2.8%増)が見込まれます。また、年齢別に見ると、平成30年度における65歳以上の身体障がいの割合は、平成25年度と比較してほぼ同様の割合になっています。 (3)知的障がい者 本市における知的障がい者人口は、平成30年度末現在で1,980人です。障がいの程度別では、軽度(B2)が最も多く653人です。知的障がい者人口は、平成20年度と比べ46.3%増であり、10年間で628人増加しました。特に軽度(B2)の増加が顕著となっています。年齢別では、18歳未満の人の割合が28.4%で、平成25年度と比べて2.6%減少しています。令和6年度における知的障がい者人口を推計したところ、2,338人と平成30年度と比較して358人の増加(18.1%増)が見込まれます。   (4)精神障がい者 精神障がい者人口は、正確な把握が困難なため、ここでは精神障害者 保健福祉手帳の取得者と、自立支援医療(精神通院)の利用者を分析しました。精神障害者保健福祉手帳取得者数は、平成30年度末現在2,232人で、平成20年度と比べ1,082人増加し、94.1%増となりました。令和6年度における精神障害者保健福祉手帳の取得者を推計したところ、2,786人と平成30年度と比較して554人の増加(24.8%増)が見込まれます。 一方、自立支援医療(精神通院)は、障害者自立支援法の施行により、通院医療費公費負担制度を受けて平成18年度に創設された制度です。利用者数は、平成30年度末現在4,145人で、平成20年度と比べ1,480人増加し、55.5%増となりました。令和6年度における自立支援医療(精神通院)の利用者を推計したところ、4,869人と平成30年度と比較して724人の増加(17.5%増)が見込まれます。 双方の制度とも、取得者及び利用者の伸びは著しく、今後ますます精神障がい者人口は高い割合で増加していくものと考えられます。 3 障害支援区分の状況 本市における障害支援区分の状況は、平成30年度末現在で、全体数では702人、区分別では、介護給付の必要度が最も高い区分6が181人であり、次いで区分2の133人の順となっております。障害支援区分の期間が最長3年間であるため、3年周期で大きく推移しているため、平成27年度と平成30年度を比較すると、全体では12.7%増であり、79人増加しました。令和6年度における障害支援区分の状況を推計したところ、全体で824人と平成30年度と比較して、122人の増加(17.4%増)が見込まれます。 4 生活状況 平成30年度に実施した「障がい者福祉計画(第4期)の策定に伴うアンケート調査」において、障がい者1,800人に住まいの状況について質問をしたところ、回答があった598人の中では、64.2%の人が持ち家、19.7%の人が公営又は民間の賃貸住宅や社宅・社員寮に暮らしていました。一方で、施設入所又は入院中の人が11%いました。 5 就学状況 (1)特別支援学校 本市には、県立盲学校が1校、県立ろう学校が1校、県立養護学校が2校設置されており、市内・市外の児童・生徒536人が在学しています。 (2)幼稚園・保育所・認定こども園 本市には、幼稚園が26園、保育所が38園、認定こども園が6園設置されており、合計65人の障がい児が通園しています。在籍児に対する障がい児の割合は、幼稚園が0.7%、保育所が1.0%、認定こども園が1.2%で、公立・私立の別では幼稚園・保育所・認定こども園ともに公立の割合が高くなっています。なお、認定こども園については、「就学前の子どもに関する教育、保育などの総合的な提供の推進に関する法律」(法律第77号)が平成18年6月に公布され、同年10月から制度が開始されています。    (3)特別支援学級・通級指導教室 本市では、障がい児学級を小学校に91学級、中学校に43学級設置しており、合計582人の児童・生徒が在学しています。また、小学校には、言語障がいや難聴、発達障がいにより特別な教育対応を必要とする児童のための通級指導教室を設置しており、197人の 児童が通級しています。 6 雇用・就労状況 (1)職業紹介・障がい者雇用率 平塚公共職業安定所管内(平塚市、伊勢原市、大磯町、二宮町)の平成30年度における障がい者への職業紹介は1,169件であり、このうち就職に結びついたものは249件でした。また、平成30年6月において、民間企業の本社所在地を基本とした神奈川県内の障がい者雇用率は2.01%、法定雇用率を達成している民間企業の割合は43.9%となっています。平成29年6月時点では、前者が1.92%、後者が47.8%でした。平成30年4月に障がい者の法定雇用率が引き上げられた影響もあり、法定雇用率を達成している民間企業の割合は減少しました。 (2)特別支援学校卒業者の進路 平成30年度に、本市に在住する障がい者で、特別支援学校の高等部を卒業した方の進路は、次のとおりです。 7 経済的支援 (1)各種手当 平成26年度から平成30年度までの平塚市心身障害者福祉手当の支給状況と平成30年度における各種手当の支給状況は、次のとおりです。なお、特別児童扶養手当や障害児福祉手当、特別障害者手当、経過的福祉手当の支給額はそれぞれ引き上げられています。 (2)重度障害者医療費助成 重度障害者医療費助成の総支給額の状況は、平成26年度から平成30年度で7.9%増で約71,000,000円増加しています。なお、「県負担分等、市負担分」とは、総支給額に対するそれぞれの財源負担額を示していて、平成30年度の市の負担割合は72.0%になります。 8 アンケート調査結果 (1)調査実施の趣旨 令和2年度から5か年を計画期間とする「平塚市障がい者福祉計画(第4期)」の策定にあたり、障がい福祉の基本的な施策の方向性を定め、役立てるための基礎資料とすることを目的として実施したものです。 (2)調査方法 調査対象:18歳以上の障がい者、18歳未満の障がい児、20歳以上の一般人 対象者数:18歳以上の障がい者1,100人、18歳未満の障がい児100人、20歳以上の一般人600人、合計1,800人 抽出方法:18歳以上の障がい者 本市障害者手帳台帳からの無作為抽出、18歳未満の障がい児 本市障害者手帳台帳からの無作為抽出、20歳以上の一般人 本市住民基本台帳からの無作為抽出  調査方法:郵送方式(料金受取人払いの返信用封筒を同封) 調査期間:平成31年3月29日発送、平成31年4月26日までに返送 (3)回答状況 回答数:全体 871件 、障がい者 598件 、障がい児 47件、一般 226件 回答率:全体 48.4%、障がい者 54.4%、障がい児 47.0%、一般 37.7% (4)補足説明 回答結果の掲載順については、回答数が多い順になっています。 選択・自由記述の設問については、選択回答のみ掲載しています。 複数回答の設問については、合計が確実に100%を超えるため原則としてパーセント表示はいたしません。 (5)第3期アンケート調査との比較結果について 今回のアンケート調査のうち、第3期策定時のアンケート調査(前回)と同一又は同様の設問についての結果は、以下のとおりです。 ①18歳以上の障がい者 現在の生活状況について 『問5:あなたのお住まいは、次のうちどれですか。次の中から当てはまるものを1つだけ選んでください。』この設問の回答である「自分又は家族の持ち家」と、『問6:(問5で「1 自分又は家族の持ち家」又は「2 市営住宅や県営住宅、アパートや借家、社宅や社員寮」と回答した方におたずねします。)あなたは誰と住んでいますか。次の中から当てはまるものを1つだけ選んでください。』この設問の回答である「家族と住んでいる」が回答の約6割以上を占め、『問7:あなたの日常生活における介助を行う方は、主にどなたですか。次の中から主に当てはまるものを1つだけ選んでください』この設問の回答である「家族又は親族」が約5割を占めています。また、『問9:あなたは、生活での困りごとや福祉制度の利用などで相談したいことがあるとき、主にどなたへ相談しますか。次の中から主に当てはまるものを1つ又は2つ選んでください。』この設問の回答である「家族又は親族」が上位を占めています。前回調査と比較すると、同様の傾向となり、日常の生活において、家族の存在は大きく、とても頼りにしていることが分かります。 外出をする割合について 『問13:あなたは、外出をする日数の割合はどのくらいですか。就労や障がい福祉事業所への通所も含めます。次の中から当てはまるものを1つだけ選んでください。』この設問の回答である「週に5日以上」と回答した人が約3割を占め、続いて「週に3~4日ぐらい」が約2割を占めています。一方で、「1か月に1~3日ぐらい」や「半年に1回くらい」などのあまり外出する機会のない人も、約2割を占めています。また、『問11:あなたは、外出をするとき、主にどのような目的で外出しますか。就労や障がい福祉事業所への通所も含めます。次の中から主に当てはまるものを1つ又は2つ選んでください。』この設問の回答である「買い物」や「通院又はデイケア」の回答が上位を占めていますが、「散歩、運動」や「趣味の活動」、「就労」などその他の目的による外出もあります。更に、『問14:あなたは、外出で移動をするとき、主にどなたかが介助していますか。就労や障がい福祉事業所への通所も含めます。次の中から主に当てはまるものを1つだけ選んでください。』この回答である「1人で外出する」が回答の約4割を占めますが、「家族又は親族」に「障がい福祉事業所の支援員やヘルパー」を加えると約4割を占めています。前回調査と比較すると、同様の結果となりました。 将来について 『問23:あなたは、将来、どのように暮らしたいと思いますか。次の中から主に当てはまるものを1つだけ選んでください。』この設問の回答である「家族と一緒に暮らしたい」と回答した人が約6割を占め、『問24:あなたは、将来、日常生活における介助を主にどなたからを受けたいと思いますか。次の中から主に当てはまるものを1つだけ選んでください。』この設問の回答である「家族又は親族」が約5割を占めています。また、『問26:あなたは、将来、外出で移動をするとき、どなたかに介助してもらう希望はありますか。次の中から主に当てはまるものを1つだけ選んでください。』この設問の回答である「家族又は親族」が5割を占める回答となりました。前回調査と比較すると、同様の傾向となり、将来においても日常生活での家族の存在は大きく、とても頼りにしていることが分かります。 将来の就労について 『問25:あなたは、将来、どのような働き方を希望しますか。次の中から主に当てはまるものを1つだけ選んでください。』この設問の回答である「就労は難しい」と回答した人が約4割を占めており、前回調査と比較すると、同様の結果となりました。また、「就労は希望しない」という回答と合わせると約6割を占めています。その内、65歳以上の人が約7割を占めています。また、18歳から64歳までの人は約3割を占め、その約3割が障害者手帳の重度障がいのある人からの回答です。 ②20歳以上の一般人 ボランティア活動について 『問8:あなたは、今まで障がい者福祉に関するボランティア活動をしたことがありますか。次の中から当てはまるものを選んでください。』この設問の回答である「活動したことない」と回答した人が約8割を占めており、『問9:(問8で「2 以前活動したことがある」又は「3 活動したことはない」と回答した方におたずねします。)あなたが現在障がい者福祉に関するボランティア活動をしていない理由について、次の中から主に当てはまるものを1つ選んでください。』この設問の回答である「ボランティア活動をするきっかけがない」「ボランティア活動をする時間がない」と回答した人が上位を占めています。しかし、『問10:あなたは、今後、障がい者福祉に関するボランティア活動をしてみたいと思いますか。次の中から主に当てはまるものを1つ選んでください。』この設問の回答である「機会があれば活動してみたい」と回答する人が約3割を占めていました。また、『問11:あなたは、障がい者福祉に関するボランティア活動を促進させるにはどのようなことが必要だと思いますか。次の中から当てはまるものを全て選んでください。』この設問の回答である「ボランティアに関する情報提供」が上位となりました。前回調査と比較すると、大きな変化はなく、同様の傾向となりました。 (6)今回新たに設けた設問の結果について 今回のアンケート調査のうち、新たに設けた設問についての結果とその考察は、以下のとおりです。 ①18歳以上の障がい者 社会における障がい者への理解について 『問30:あなたは、社会における障がい者への理解について、おおむね5年前と比べてどのくらい深まっている又は深まっていないと感じますか。次の中から当てはまるものを1つだけ選んでください。』この設問の回答である「深まっていると感じる」と「深まっていないと感じる」と回答した人がそれぞれ約3割を占めています。また、『問31:あなたは、社会における障がい者に対する理解を深めるための啓発について、おおむね5年前と比べてどのくらい行われている又は行われていないと感じますか。次の中から当てはまるものを1つだけ選んでください。』この設問の回答である「あまり行われていないと感じる」と「ほとんど行われていないと感じる」を回答した人は合わせて約3割を占めています。 ②18歳未満の障がい児 相談窓口や支援機関について  『問5:初めて利用した相談窓口や支援機関について、次の中から当てはまるものを選んでください。』この設問の回答である「利用したことがない」と回答した人は、1人のみで、大多数の人が設問にある相談窓口などを利用しています。また、利用先のうち「こども発達室くれよん」や「医療機関」、「学校(小学校、中学校、特別支援学校等)」が上位を占め、約6割の人が利用をしています。 ③20歳以上の一般人 障がい者との関わりについて 障がい者との関わりについて、『問4:あなたは、障がいのある人と関わった(関わる)ことがありますか。』この設問の回答である「関わった(関わる)ことがある」と回答した人が約7割を占めています。また、『問6:あなたは、今まで障がいのある人への手助けや声掛けをしたことがありますか。次の中から当てはまるものを選んでください。』この設問の回答である「障がいのある人への手助け、声掛けをしたことがある」と回答した人が約5割を占め、一般の人と障がい者との関わりが多いことが分かりました。 一方で、『問16:あなたは、社会における障がいのある人への理解について、おおむね5年前と比べてどのくらい深まっている(又は深まっていない)と感じますか。次の中から当てはまるものを選んでください。』この設問の回答である「深まっていないと感じる」と回答した人が約4割を占め、また、『問17:あなたは、社会における障がいのある人に対する理解を深めるための啓発について、おおむね5年前と比べてどのくらい行われている(又は行われていない)と感じますか。次の中から当てはまるものを選んでください。』この設問の回答である「あまり行われていないと感じる」、「ほとんど行われていないと感じる」についても回答の約4割を占めています。