第3章  計画策定に向けて 第3章 計画策定に向けて 1 前計画の振り返り (1)基本目標1 障がい理解の啓発と自立・社会参加の促進 第3期計画(以下、前計画)の事業進捗度は、平均4.6となり、事業目標に対し概ね達成しているため、心のバリアフリーと権利擁護の推進、多様な働き方と就労支援、発達に支援が必要な子どもへの支援、余暇活動の充実による生活の質の向上に関する施策については、前計画で実施している事業を通じて、概ね成果を出せたものと考えています。 ただし、「障がい者就労支援強化事業」「市職員の障がい者採用の推進」の進捗度が2と3と低い結果となったことを受け、全員参加型の社会を実現するためにも、引き続き、障がいの特性や希望に合わせ、福祉的就労をはじめとする多様な就労支援が必要です。 この目標に関連する今回のアンケート結果では、外出について、「週に5日以上」と回答した人が多く、その主な目的は「買い物」や「通院又はデイケア」が上位を占める結果となりました。また、就労については、「就労は希望しない」が上位の結果となりました。更に、一般の方に対するボランティア活動の結果では、「活動したことはない」と回答する人が多かったが、約3割の方が「機会があれば活動してみたい」と回答があり、引き続き、障がい者の自立や社会参加の促進を図る取り組みが必要です。 また、18歳未満の障がい児を対象としたアンケート調査の中で、「お子さんの日常生活で困っていることや不安なこと」について、「進学や学校のこと」「就職のこと」が上位1、3位に挙げられており、将来の就学、就職について安心して相談できる体制の充実や切れ目のない支援が必要です。 更に、ボランティア活動について、「活動したことはない」と回答する人が多いことを受け、市民一人一人の障がいに対する理解を深め、誤解や偏見に基づく「心のバリア」を取り払う取り組みを推進し、活動がしやすい環境づくりを図ることも引き続き必要です。 (2)基本目標2 地域生活支援の充実 前計画の事業進捗度は、進捗度が平均4.3となり、事業目標に対し概ね達成しているため、前計画で実施している保健福祉の推進に対応する各事業を通じて、概ね成果を出せたものと考えています。 この目標に関連する今回のアンケート結果では、家族と暮らし、家族に介助をしてもらうことを望む人が多い結果でした。また、家族又は親族と一緒に住む人が多く、「週に5日以上」と高い頻度で外出する方が多い結果となり、介助者を伴わず1人で外出する人が多く、目的は「通院又はデイケア」が上位となりました。また、医療については、「1か月に1〜3回」が約5割となりました。 このことから、家族の存在が大きく、信頼をしていることが伺えますが、その反面、家族に介助などの負担やストレスを抱えてしまう状況と考えられることから、障がい者本人だけでなく、その保護者や家族を含め、相談支援体制の充実とあわせ将来に対する不安感を取り除くことが重要と考えます。 (3)基本目標3 暮らしやすい生活環境の拡充 前計画の事業進捗度は、基本目標3では進捗度が平均4.3となり、事業目標に対し概ね達成しているため、前計画で実施している事業については、福祉のまちづくり、災害への対応についての施策を展開し、概ね成果を出せたものと考えています。 ただし、「避難行動要支援者登録制度の推進」の進捗度2に留まっていることから、災害に対する意識改革と、情報提供及び情報共有を図ることが必要です。また、本人の自立や社会参加の促進を図るため、個々の障がい特性や希望に合わせ、移動や移送手段に対する支援も必要です。 2 計画策定に向けて 本市の総人口に占める老年人口(65歳以上)は増加しており、それに伴い、介護などの家族機能の低下や、介護や入院が必要となる障がい者本人やその家族も増加することが想定されます。また、平成30年度の身体障がい者の人口割合も65歳以上が69.3%と、今後もこの割合は高くなると想定しており、高齢化に伴う身体機能の低下による手帳取得が今後も増加し、障がい者の高齢化及び重度化の傾向は強まっていくものと考えられます。 障がい者の人口推移をみると、身体障がいでは内部機能障がいが、知的障がいでは軽度がそれぞれ増加傾向にあります。また、精神障害者保健福祉手帳取得者も増加傾向が続き、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が地域に増えていることが想定されます。 そのために、社会からバリアを取り除くのではなく、相手のことを思いやり、初めからバリアを作らない気遣いや考え方を醸成していきます。また、一人ひとりがその能力や才能を発揮できるための環境づくりに向けた取組とともに、ソーシャルワーカーや保育士、福祉事業所の支援員などの障がい福祉を支えるための人材育成を着実に進めていきます。 更に、本人の障がいと特性により周囲の目を気にして地域や社会との関わりを避けてしまわないようにするために、多様な価値観を持つ人たちが、相互に人格と個性を尊重し合える取り組みも進めていきます。 障がい又は発達に課題のある子どもが増加傾向にあることから、子育てに難しさや不安を感じる保護者も増えていると考えられます。また、障がいや発達に課題のある子どもに対する支援では、早期発見の機会を充実させ、家族の理解を促しながら支援を行うことが重要です。そのため、成長過程に応じて、子育て、教育、福祉、医療分野などの関係機関が連携協力しながら、身近な地域での相談しやすい体制の充実を図るとともに、未就学・就学期から青年・成人期へとライフステージが変化しても、切れ目のない支援が継続して受けられるようにする必要があります。また、医療的ケア児や重症心身障がい児など、特別な支援を必要とする児童に対するきめ細かい支援の充実のため、関係機関による協議の場の設置など、必要な施策を展開していきます。 更に、近年、障がい者の権利擁護に関する法整備が進んだことや、就労訓練などに関する障害福祉サービスも増え、障がい者の法定雇用率が上昇していることもあり、障がいのある方の就労に向けた環境も整いつつあります。この機会を活かして障がいの特性に応じた能力を発揮するための取り組みを進めます。最近では、駅前の地下道やギャラリーなどに障がいのある方の作品が展示され、パラスポーツに関するイベントなども開催されており、これまで以上にその才能を発揮する機会が増えていますので、その活動を支えるための環境整備も進めていきます。 このほか、市内には公共職業安定所の窓口や国の事業である就業・生活支援センターがあり、県の児童相談所、保健福祉事務所、特別支援学校なども設置されています。また、社会福祉協議会や福祉村などの地域福祉を支える拠点のほか、成年後見センターやこども発達支援室などの機関も設置されています。更に、障害福祉サービス事業者や障がい者団体、ボランティア(個人・グループ)などもあり、多様で豊富な社会資源が一定程度集積している本市の強みを最大限に発揮し、障がいのある方が住み慣れた地域で安心して生活できるようにするための取り組みを進めていきます。