3月定例市長記者会見・埋蔵文化財の活用に新たな拠点 ― 旧食肉会館を再利用 ―

平成19年3月22日

平塚市側の説明


大蔵律子市長:

 任期最後の定例記者会見となりました。この4年間を振り返り、皆様に一言、ごあいさつを申し上げたいと思います。
 皆様には、この4年間、大変お世話になりました。とりわけ当初、市長就任時は説明が要領を得なくて、ご迷惑をかけることが多かったなあ、と反省しておりますが、的確に皆様方は平塚市の情報を発信してくださいました。大変ありがたく思っています。
 最初に、湘南市研究会の解散ということもございました。それから4年の間には、環境事業センターに関わる広域ごみ処理の問題がございました。また、自治基本条例を制定し、これから本格的にそれを機能させていきたい、という問題もありましたが、皆様方はそういう情報を市民の方々に広く伝えるという意味で、たいへん大きな役割を果たしてくださいました。情報を行政と市民とが共有するということは時の要請だと思っております。従って、行政情報を積極的に提供することに努力しているつもりですが、なかなか厳しくて、市民お一人お一人に届けるということは、並大抵のことではないということを、この4年間にいたく感じてまいりましたが、その中で、大きな役割を果たせるのはやっぱりマスコミの皆様方の情報発信であった、というふうに思っております。そういう意味で、平塚市をより市民に身近な存在として感じていただけるようになるためにも、皆様方に大変お世話になりましたことを心から感謝申し上げてごあいさつに代えさせていただきます。本当にありがとうございました。

 それでは、「埋蔵文化財の活用に新たな拠点―旧食肉会館を再利用―」につきましてご説明申し上げます。
 このほど寺田縄にあります旧食肉会館の建物の改修工事が終わりまして、平塚市埋蔵文化財調査事務所として業務を開始いたしました。
この建物は平塚市食肉センター利用者のための施設として建設され、食肉センターの閉場とともにその役割を終わりましたが、行政資源の有効活用という観点から再利用の検討を進め、市内の埋蔵文化財活用の拠点として利用していくことといたしたものでございます。
 平塚市内には298か所の遺跡が周知されております。中でも四之宮地区、真土地区から中原地区にかけましては、奈良時代から平安時代に相模国の国府があったと考えられております。歴史的遺産は郷土意識を育み、心豊かな生活環境を整備するための拠り所、「市民の宝」として不可欠なものでございます。
 そこで、今回のこの施設では、埋蔵文化財の調査・整理業務を実施する機能の充実に加えまして、文化財の活用を積極的に進めていくための常設展示や講習・学習のためのスペースを設けました。学校や地域の方々との連携も深め、多くの市民に積極的にご利用いただき、生の資料や埋蔵文化財保護の最前線の作業に接していただきたい、と考えております。常設展示につきましては、4月2日以降ご利用いただくことになりますが、観覧につきましては社会教育課まで事前にご連絡をいただくようになっております。
 施設の概要などでございますが、お手元の資料をご参照いただければ、と思います。場所につきましては冒頭に申し上げました平塚市寺田縄でございます。今回のこの施設は平成3年4月、建設されたものを改修いたしました。交通アクセスといたしましては、神奈中バスの東橋バス停から徒歩5分の距離にございます。
 事業の概要と今回の事業の経過につきましては、資料をご参照いただきたいと思います。また、平面図と写真を回覧させていただいております。外観は写真にあるようなものでございます。施設の機能でございますが、写真資料室、資料洗浄室、整理作業室資料の撮影スタジオそして暗室、資料室、文献資料室、そして資料展示室および講座学習室でございます。このような施設が4月2日から市民の皆様にご利用いただく埋蔵文化財の活用に新たな拠点として、旧食肉会館を利用して立ち上げたものの概要説明でございます。


 

質疑内容の要旨

 

Q記者:今まではどこにあったのか?

A社会教育部長:旧城島公民館といいまして、公民館が新築されまして、その後の施設を文化財事務所として活用していました。ところが、昭和40年代の建物で非常に老朽化が激しくなりまして、そこから、今回のこの食肉会館に移転しました。


Q記者:前の文化財事務所は木造ですか?

A社会教育部長:はい。木造です。


Q記者:火事などは?

A社会教育部長:そうです。一番それが心配で、火災報知器などの機械警備はしてあります。


Q記者:収蔵庫がないが、収蔵はどうするのか?

A社会教育部長:とりあえず旧城島公民館の一部を使いまして、そこに収蔵しています。今後も事務所の移転に伴いまして、空くスペースを北金目の遺跡を引き取る予定で現在、作業をしております。それ以外に、旧金目公民館を収蔵庫として活用しています。現在、収蔵施設は2か所です。


Q記者:収蔵品の点数はいくつくらいか?

A社会教育課担当者:これまで市内で発掘された資料は、通常使っているコンテナ60センチメートル、40センチメートル、深さ20センチメートルの整理箱で、だいたい3000箱ございます。


Q記者:そのうちのいくつくらいが新しい施設に行くのか?

A社会教育課担当者:事務所では、その時に整理をしている対象となる資料だけを持ってきていますから、だいたい200箱程度。


Q記者:県では、埋蔵文化財の研究を外部に委託するようだが、平塚はどうか?

A社会教育課長:県の場合には、財団法人という格好で、かながわ考古学財団がありまして、財団法人を辞めます。市では、社会教育課の文化財担当のほうで、埋蔵文化の処理をやっていますので、今後もこういう形式でやっていきたいと思います。


Q記者:相模国府跡の調査は続けるのか?

A社会教育課担当者:調査のほとんどが、建物が建つ、あるいは造成工事によって、埋蔵文化財が破壊されてしまう場合に、記録をとる緊急調査がほとんどです。今後とも、国府地内は市街地ですから、建物を建てるあるいは造成する事業などが続いていくと思いますので、事業がある限り、埋蔵文化財が続く限り、調査は続くと思います。


Q記者:茅ヶ崎の下寺尾廃寺のように国の指定で保存する考えはないのか?また、湘南新道の工事で、だいぶ史跡が壊されたのではないか?

A社会教育課担当者:全国的に国府の遺跡は国の指定遺跡あるいは史跡公園として整備される方向で進んでいますが、相模国府の平塚、武蔵国の国府である府中は、昭和の早い段階から市街地化が進んでいて、一定のエリアで調査あるいは残すことが難しくなっているのが現状です。ほとんどが私有地、あるいは個人住宅になっている中で、建て替えの折りなどで、(調査を)進めている状況です。国庁などはかなりのスペースを有するものですから、私有地がほとんどでございますので、指定にはなかなか難しい、と。大切なものが足元にあるということをできる限り周知していくことが大切と思っています。
 また、湘南新道の関係ですが、その取り扱いについて神奈川県、あるいは、かながわ考古学財団がひとえにしておりまして、道路の下のほうで出てきた遺構には砂を入れて、残せるものは残しているのが実情です。


Q記者:国庁があったということが分かるような工夫が必要ではないか?

A社会教育課担当者:昨年度、国庁が出たところは、歩道上ですけれども、国庁に関係する建物、脇殿の跡に色を変えてございます。そして、その真上に説明板を設置しています。県道の整備の中で神奈川県が設置しましたけれども、その後の管理については市のほうで引き継いでいます。


Q記者:新しい施設に学習機能はあるのが、前の施設はあったのか?

A社会教育課担当者:文化財の活用事業については、博物館が活用を図る場所、ということで、事務所のほうでは特には実施をしておりませんでした。今回、3000箱もの生のデータを持っているので、発信していこう、ということです。

 

【ごみ広域処理】

Q記者:ごみ広域化で、大神のごみ処理施設が平塚と大磯の1市1町で設計されていると二宮町議会で話題になったが、枠組みはまだ変わるのか?

A市長:二宮の町長さんがお見えになりました。そのとき、お話もいたしまして、先方も「当然そういうことですね」とおっしゃったのは、1市1町で(施設の)実施設計をしていきます、と。今の作業を進めていきますということで、今この段階で、もう一度二宮が入ったらどうなるか、という元に戻るということは時間の経過などからして難しい。1市1町で進めていきながら、将来、二宮町がどうしてもという事態があり、受け入れるということは、全くないということではなくて、検討の余地を残しているお話になりました。
 

Q記者:1市1町で進めていくと?

A市長:はい、そうです。

 

【指定管理者制度】

Q記者:平塚市は、指定管理者制度が他と比べて少ないのではないか?

A市長:指定管理者制度の導入のときに、それぞれ現在の施設がふさわしいかどうかも含めまして、施設の特性等を見極めながら可能なところは積極的に指定管理者制度に移行しようという姿勢で取り組んでいるところです。


Q記者:文化的なものはともかく、公園などはできるのではないか?

A市長:全ての施設について洗い出しをしながら検討をしていこう、ということになっておりまして、総合公園を急に、というのも、どういう課題があるかということを検証しなければいけませんので、そういう作業をそれぞれにやっていただいているという段階です。


Q記者:他の市では100を超えるところもあるが?

A市長:特に社会教育施設がよそもやっているのに、ということになるんだろうと思いますが、平塚の社会教育施設が数として多いのはそれを始めた時の意図とか、その間の経過とかもございますので、そう簡単な問題ではないという認識をしています。よそ様の公民館と、平塚の公民館が地域住民が生活交流、あるいは自治会等が使う拠点として利用してきているという経過などもございまして、公民館だとか、美術館、博物館というところをいきなり指定管理者制度にというのは、きちんと理論構築もする必要があることから、ご指摘のようによそ様がすぐ取り組んだけれどもできない社会教育施設になっているのは事実だと思っています。


Q記者:職員がしっかり管理していくということか?

A市長:指定管理者制度に移行するまではきちんとそういうことをしていきたいと思っています。ただ、現状より職員を増やすという意味ではなくて、市民ボランティア等も活用というと変ですが、かかわっていただきながら、今の博物館とか美術館の直営での運営が当分続くことになるか、とは思います。


Q記者:学校に図書館司書を配置したのも、そういうことなのか?

A市長:それはもう、平塚の特性として地域文化、相模川とか湘南というところにスポットを当てながら、そういう歴史文化を大事にしていくまちであり続けたいという思いがございますので、美術館、博物館をはじめ、学校図書館には従来司書がおりませんでしたけれども、専任の司書を、サンサン・スタッフの形でございますので、教員並みのフルタイムでいる方ではありませんが、サンサン・スタッフを図書館司書として活用しながら、図書館が子どもにとって本当に活用しやすい場所、あるいは教育の教材等を提供する場として充実していきたいと思っています。

 

【日産車体一部閉鎖】

Q記者:日産車体の一部閉鎖について、最近の取り組みは?また、人口や市財政への影響は?

A市長:担当から答えさせていただきますが、対策としては3月15日に第1回目の連絡会議、つまり平塚商工会議所や神奈川県との情報交換や連絡調整を行ってきています。その中で、どれほどの情報が得られているかについて、担当から答えます。

A企画課担当課長:3月15日に、商工労働部が中心となりますが神奈川県、平塚商工会議所と平塚市が、今回の日産車体株式会社湘南工場一部閉鎖に伴う連絡会議を開催しました。まだ1か月半ということでしたので、それぞれの情報を交換したということと、今まで市としてどういう対策を講じてきたかという経過説明をしました。この中で、県あるいは商工会議所からいただいた意見としては、「産業立地を今後の土地利用のメーンとするのであれば、商工労働部のインセンティブを活用して、ぜひ推進していってほしい」とか「県の県土整備部もあるので応援体制もつくっていきたい」というご支援をいただきました。企業誘致に当たりましては、「インベスト神奈川だけではなくて、インベスト平塚というような施策も検討していく必要があるのではないか」というご意見をいただきました。

A市長:さきほどご質問にありました人口減がどうなるか、とかその辺の情報はまだ十分に得ることができていません。

A企画部長:従業員数は、平塚から出て行くのは700から800という報道がありましたが、その程度のものしかありません。また、税金については、当然影響が出ますけれども、日産車体全体の出荷額などが提示されておりませんので、現在ではつかめないという状況です。


Q記者:企業がなくなると、兼業農家の農業もなくなると発言されている首長がいたが、平塚はどう考えているのか?

A市長:本市も兼業農家が多いのは事実です。専業農家はかなり減ってきているというのは実態でございますので、どういうふうに推移していくのか、今後、調査をしてみたいと思います。

※定例市長記者会見における質疑内容を広報課広報担当でとりまとめて掲載しています。

記者発表資料

平成19年3月22日

平塚市

担当 社会教育課文化財保護担当 栗山

電話 0463-35-8124

 

埋蔵文化財の活用に新たな拠点
旧食肉会館を再利用

 

 このほど寺田縄にある旧食肉会館の建物の改修工事が終わり、平塚市埋蔵文化財調査事務所として業務を開始しました。

 この建物は平塚市食肉センター利用者のための施設として建設され、食肉センターの閉場とともにその役割を終えましたが、行政資源の有効活用という観点から再利用の検討を進め、市内の埋蔵文化財活用の拠点として利用していくことといたしました。

 平塚市内には298か所の遺跡が周知されており、明治31年の万田八重窪横穴群の発掘調査以来、今日までに600件以上の発掘調査が実施されています。中でも四之宮地区真土地区から中原地区にかけては奈良時代から平安時代に相模国の国府があったと考えられ、埋蔵文化財の量は神奈川県内でも屈指と言えます。これらの歴史的遺産は小学校・中学校の歴史学習の身近な教材となるだけでなく、郷土意識を育み、心豊かな生活環境を整備するための拠り所、「市民の宝」として不可欠なものです。

 これまでも調査事業や整理事業については旧城島公民館を事務所として利用しながら進めてきましたが、施設の老朽化により新しい施設の整備が必要になっていたところです。

 また、出土した文化財の一部は平塚市博物館や地区公民館等で展示・公開しておりますが、展示されている資料はめずらしいものや形が復元できる資料に限られる反面、その背景には展示されない膨大な資料があり、更に多くの資料が日々蓄積されています。このような資料を活用していくためには展示だけでなく、実際に手にとって古代の人々の「感触」を体感できるような場が必要と考えております。

 したがって本施設では、埋蔵文化財の調査・整理業務を実施する機能の充実に加え、このような文化財の活用を積極的に進めていくための常設展示や講座・学習のためのスペースを設けました。学校や地域の方々との連携も深め、多くの市民に積極的にご利用いただき、生の資料や埋蔵文化財保護の最前線の作業に接していただきたいと考えております。常設展示につきましては4月2日以降ご利用いただきますが、観覧につきましては社会教育課まで事前にご連絡くださるようお願いいたします。 

 なお、移転いたしました旧事務所(旧城島公民館)につきましては、引き続き埋蔵文化財の収蔵施設として利用し、真田・北金目地区の区画整理事業に伴う発掘調査で出土した資料を保管する予定です。

 

施設の概要

住所     平塚市寺田縄43-1

建設年   平成3年4月

敷地面積  665.34平方メートル

延床面積  573.1平方メートル

構造     鉄骨造 2階建て

交通     神奈中バス 東橋バス停から徒歩5分
 

事業の概要

事業費用  

 平成18年度 教育費 社会教育総務費 埋蔵文化財発掘調査・整理事業費

       33,368,000円

       改修工事費用及び埋蔵文化財調査事務所移転費用

改修工事  平成18年7月~12月

 部屋の使途変更に伴う改造、設備の老朽化に伴う更新

 間仕切りの撤去、内装工事、空調機器の移設、コンセントの増設、LAN新設、土器洗い場の新設、トイレ、洗濯室等の改造等

 

事務所移転 平成19年 1月~2月

 

事業の経過

平成 3年 4月       食肉会館建設

平成14年 3月       平塚市食肉センター閉場

平成14年12月       食肉会館使用終了

平成15年 4月       食肉会館の再利用検討開始(農産課)

平成16年 4月       社会教育課に利用についての打診

平成16年12月以降   埋蔵文化財関係施設としての利用に絞って検討

平成17年 8月       利用計画(案)を地元に説明

平成18年 3月      18年度改修事業費承認

平成18年 7月~12月 改修工事

平成19年 1月~ 2月 埋蔵文化財調査事務所移転
 

施設の位置
  • 埋蔵文化財の広域地図の写真
  • 埋蔵文化財の詳細地図の写真
施設の機能
 

写真資料室
 発掘調査で撮影した遺構、整理報告や公開・活用のために撮影した遺物等の、写真やスライドの保管・管理。
 
資料洗浄室
 出土した埋蔵文化財の洗浄作業。
 
整理作業室1~3
 発掘調査図面の整理やトレース、遺物の実測やトレース、報告書の編集等の作業。
 
資料撮影スタジオ
 整理報告や公開活用のための遺物写真、スライドの撮影作業。
 
暗室1、2
 整理報告や公開活用のための遺構写真、遺物写真、の現像作業。
 
資料室
 市指定文化財や墨書資料、金属資料等の脆弱遺物の保管・管理。
 
文献資料室
 全国から刊行される埋蔵文化財調査報告書の保管・管理。
 
資料展示室、講座・学習室
 出土資料の展示及び各種講座等活用のための事業開催。
 
その他
 更衣室、トイレ、給湯等の共用スペース。
 

 





施設の平面図

1階 平面図(上)

2階 平面図(下)