6月定例市長記者会見・アスファルトラバー舗装の実証試験

平成18年6月22日

平塚市側の説明

 

大蔵律子市長:

 

 本日の案件に入ります前にまずお詫びをさせていただきます。昨日、記者発表いたしましたが、平成18年度の市・県民税の納付通知書に誤りがありました。今後、このようなことがないよう、事務処理適正化によりいっそう努めてまいる所存でございます。ご迷惑をおかけしました。お詫び申し上げます。

 

 それでは、本日の案件に入らせていただきます。まず1つ目は「アスファルトラバー舗装の実証試験」についてでございます。これは、廃タイヤの活用と道路の安全快適性の向上を目指すものでございます。日本アスファルトラバー研究会が開発提唱いたします、廃タイヤの粉砕ゴム粉を配合したアスファルト舗装合材を用いたアスファルトラバー舗装につきまして、本市が全面的に協力し、市道真土金目線で日本自動車タイヤ協会が、実証試験を実施いたします。

 交通量の多い幹線道路では、全国で初めてのケースであり、廃タイヤの循環利用の確立と、路面の耐久性や走行時の騒音振動の低減など、研究成果の実証を目指しているものでございます。

 平塚市では、人や自然にやさしい施策事業として、過去にも透水舗装やカラー舗装等、環境や景観に配慮した道路工事を実施しております。今回のアスファルトラバー舗装も、その一環と考えているところから、全面的な協力に至ったものでございますが、本市を実証試験の場にお選びいただいたことを、本市といたしましては、大変誇りに思っております。

 実証試験は、6月27日、28日の2日間で工事を行い、その後3年間、当該舗装の効果等について、追跡調査を行います。

 このアスファルトラバー舗装実証にかかわります総経費でございますが、約700万円でございます。

 この舗装工事によります期待効果でございますが、騒音では普通舗装の約10%減、振動では普通舗装の約10%減、耐久性におきましては、普通舗装の約1.5倍と期待をされております。

 今回の実証試験場所ですが、添付してある地図のとおりでございます。舗装材でございますが、従来の舗装材がこちらで、アスファルトラバー舗装が箱に入ったこれです。その元になります廃タイヤの粉末がこれですので、ご覧ください。

 

質疑内容の要旨

 

Q記者:県内では初めてか?
A市長:幹線道路については全国で初めてです。本日は横浜ゴムさんからもご同席いただいているので、答えていただきます。
A横浜ゴム説明者さま:神奈川県内では初めてです。神奈川県でさせていただいたのは、交通量が非常に多いということで、そういう場所で実証実験をしたい、ということで、神奈川県で実証試験をします。

 

Q記者:いままではどこでやっていたのか?
A横浜ゴム説明者さま:この研究会は2004年発足ですけれども、これまでは道路舗装会社さまの工場の構内などでしていました。いわゆるJARI、茨城県にある自動車試験所の構内、東京都の小平市の市道、福岡県久留米市の市道で検証をしています。その成果を踏まえまして、交通量の多いところで試みてみたいということで、こちらにお願いしました。

 

Q記者:タイヤ協会と研究会の関係は?
A横浜ゴム説明者さま:日本自動車タイヤ協会は日本でタイヤを販売しているメーカー5社の業界の団体です。所属している団体は、ブリヂストン、住友ゴム工業、弊社横浜ゴム、東洋ゴム工業、日本ミシュランタイヤの5社でございますが、現在、問題になっている廃タイヤの不法投棄などに対して、マテリアル・リサイクルをやろうということで活動しています。その一環として、道路舗装への実用ということで、2004年度に日本アスファルトラバー研究会を設立しまして、道路舗装への展開を図っています。
A道路部長:横浜ゴムさんが日本自動車タイヤ協会の会長です。
A横浜ゴム説明者さま:今年度から、今年、来年と弊社の社長である南雲忠信が日本自動車タイヤ協会の会長になっています。そういう面で、廃タイヤリサイクルの3Rを進めていきます。今回の施工につきましては日本自動車タイヤ協会の自費工事ということで申し入れをさせていただいています。

 

Q記者:海外で実用化されているのか?
A横浜ゴム説明者さま:海外では、もともと1970年代にアメリカで発明された技術でございます。通常、私どもは以前から、道路舗装にゴム粉をそのまま混ぜるということ、もしくはゴムチップを混ぜるということをしていましたが、アスファルトラバーの特徴はゴム粉をアスファルトに混合し、高温で熟成することです。アメリカでは、いくつかの州で適用がされています。その技術を踏まえて、日本版のアスファルトラバーを開発しようということで、取り組んでいます。またアスファルトラバーについては、現在もヨーロッパとか中国でも取り組む研究が増えています。

 

Q記者:アスファルトを高温で熟成させるというのはどういうことか?
A東京鋪装工業説明者さま:通常の舗装で使いますアスファルトでは、ストレートアスファルトなどを使っていますが、混合物を作る前段の段階で、バインダーとして使うストレートアスファルトの中にゴム粉を入れて、温度が180度ぐらいの高温で混合して熟成して、それをバインダーとして使う、ということです。

 

Q記者:バインダーとはあわせるということか?
A横浜ゴム説明者さま:そうです。ほとんど道路舗装は石、骨材が大半を占めるんですけれど、その石をつなぐ材料、結合材としてアスファルトを入れます。今回のアスファルトラバーの特徴はアスファルトの中でゴムが膨潤することで骨材、石の周りを被覆するアスファルトの膜を厚くして、結合力を高めて、耐久性を高める、と。また、アスファルト中にやわらかいゴムが入ることで、弾性を付与して車からの音とか振動を提言させることを狙っています。

 

Q記者:ゴムで消耗が早いと思われがちだが?
A横浜ゴム説明者さま:アスファルトの添加量は普通5%から7%で、ほとんどは骨材。被覆膜厚が通常より厚くなって、結合力を高めます。車が通りますと、磨り減っていくわけですが、アスファルト全体を一挙に破壊したりすることはほとんどなくて、耐久性自身は骨材に依存していますので、骨材はほとんど変わらないので、道路の破損などはない。

 

Q記者:安全性はどうか?
A横浜ゴム説明者さま:安全性については、たとえば、もう少しアスファルトを増やしたり、ゴム粉を増やしたりしますと、有機物がずいぶん多くなるので、すり減りなどで表面が平滑になって、いわゆるすべり性が悪くなって危険なことがあると思いますが、今回の添加は骨材料が通常のアスファルトと同じですので、平坦性も問題ありません。今までの市道での評価などで実証されています。

 

Q記者:ゴムの供給面はどうなのか?
A横浜ゴム説明者さま:日本自動車タイヤ協会の大きな課題でございますけれども、今年度からディーラーさんと回収業者さんと連携をとって、私たちが把握できないようなタイヤの状況をなくす、と。必ず回収して、今は熱源などに使われていますが、その要求に応える体制を今年度から強化しています。また、道路舗装にゴム粉が入った場合はどうなのか、を実証を進めていますので、そういうところをはっきりさせた上になりますが、こちらが目指しているのは現行と同レベルで提供できるようなシステムを作りたい。

 

Q記者:廃タイヤのリサイクルはどうか?
A横浜ゴム説明者さま:現在、供給されているタイヤの回収率は88%でございます。それをなんとか97%とかそういうところに持っていきたい。そのためには、回収体制の確立と、熱源の利用ではセメント会社さん、製鉄会社さん、製紙メーカーさんなど、今はずいぶん引き手も多いですが、もう一つはマテリアル・リサイクルでもう一度材料として使用したい、ということで、その大きな目玉として道路舗装システムを考えています。

 

Q記者:88%は全国的にということか?
A横浜ゴム説明者さま:そうです。私たち業界が把握しているものです。

 

Q記者:これが普及すると補強工事も少なくなるのか?
A横浜ゴム説明者さま:アメリカなどで多くいわれているのはそういう理由です。アメリカは非常に国土が大きくて、そういうところでは長く持つことが1つのアピールかな、と。ただ日本については、持てばいいというだけではなくて、安全性と機能性ということがあると思いますので、それをにらみながら、となります。

 

Q記者:アメリカはコンクリートの道路が多いが、ゴムでは熱などはどうか?
A東京鋪装工業説明者さま:わだちに対しての耐久性ということになるか、と思うが、その点はストレートアスファルト単体ですと、そういう問題はおきやすいが、アスファルトラバーでは高粘度化しておりますので、わだちに対して強い性情になる動きになっています。
A横浜ゴム説明者さま:アメリカではコンクリートが主流でした。その1つの問題は高速で走るので、交通事故と死亡事故が多い。水はねなどで非常に危険、ということで、そこを打開する方法として、アスファルトラバーが出てきました。

 

Q記者:工事は何時からか?
A東京鋪装工業説明者さま:今の予定では来週の28日夜間、8時からスタートします。

 

Q記者:午後8時か?
A東京鋪装工業説明者さま:午後8時、夜間工事です。幹線道路で交通量が多い道路ですから。

 

Q記者:片側通行か、全面通行止めか?
A道路部長:片側通行です。

 

※定例市長記者会見における質疑内容を広報課報道担当でとりまとめて掲載しています。

記者発表資料

平成18年6月22日

平塚市

担当   道路総務課  椎野

電話   0463-23-1111 内線2654

 

アスファルトラバー舗装の実証試験
廃タイヤの活用と道路の安全快適性の向上

 

 日本自動車タイヤ協会(略称JATMA 会長:南雲 忠信)と横浜ゴム(株)は、平塚市の協力を得て、日本アスファルトラバー研究会(会長:丸山暉彦・長岡技術科学大学環境建設系教授)が開発提唱する、廃タイヤの粉砕ゴム粉を配合したアスファルト舗装合材を用いたアスファルトラバー舗装(配合ゴム粉は、路面平方メートル当りタイヤ1本分)を、市道真土金目線(幹道22号線)に導入し実証試験を実施する。

 交通量の多い道路(幹道)では、全国で初めてのケースであり廃タイヤの循環利用の確立と、路面の耐久性や走行時の騒音振動の低減など、研究成果の実証を目指している。
 実証試験は、6月27日から28日(29日予備日)の期間でアスファルトラバー舗装を施工し、その後3年間、当該舗装の効果等について、追跡調査を行う。

 

目的
 自動車用ゴムタイヤの有効活用と車輌走行に伴う路面の耐久性向上、並びに騒音振動の低減化など、総じて資源の循環利用の確立と道路環境の向上を目的とする。

 

工事実施日
 工事実施日は、平成18年6月27日~28日(29日予備日)
 既存の舗装をアスファルトラバー舗装に打替える。

 

工事内容
 平塚市道真土金目線(幹道22号線)の平塚市北豊田地内の約130m区間について、2工区に区分しアスファルトラバー密粒度混合物及び一般密粒度混合物による表層舗装を施し双方の比較調査を行う。

  

追跡調査
 アスファルトラバー舗装打替後、3ヶ年通過車輌等による影響などを把握するため、追跡調査を実施する。

 

アスファルトラバー舗装実証試験総経費

  •  工事延長:130メートル(AR舗装 65メートル、一般AS舗装 65メートル)
  •  工事面積:715平方メートル(AR舗装 357.5平方メートル、一般AS舗装 357.5平方メートル)
  •  総経費:約700万円(舗装工事費等全てを含む)

 

単価比較(厚5センチメートル、粒形最大20ミリメートルの表層時)
 現行品と同レベルを目指しているが、ゴム粉供給体制や2次リサイクルなど検討中であり、コストはまだ提示できない。
 ※平塚市の改質アスファルト舗装(一般舗装)基本単価:1平方メートルあたり1,050円

 

期待効果

  • 騒音:普通舗装の約10%減
  • 振動:普通舗装の約10%減
  • 耐久性:普通舗装の約1.5倍

 

問合せ先
 平塚市道路部道路総務課
 電話:0463-23-1111(内線2654)
 横浜ゴム(株)平塚製造所
 電話:0463-35-9640


 

AR舗装とは

  アスファルト・ラバー舗装の略称。米国で1970年代から実用化されてきた技術で、耐久性(ひび割れ抵抗性・わだち掘れ抵抗性)、及び水跳防止、騒音低減など安全・環境にも優れているとして普及が進んでいる。現在では、ヨーロッパ、アジア各国でも研究が行われている。日本では、日本の道路事情や要求性能に応える技術と品質の確立が必要である。

 

平塚市内におけるAR舗装試験施工

 「日本アスファルト・ラバー研究会(会長;丸山暉彦 長岡技術科学大学環境・建設系教授)」が開発を進める廃タイヤの粉砕ゴム粉を利用したアスファルト・ラバー(AR)舗装の耐久性や走行時の騒音低減などの研究成果を実証すべく、重交通路線である神奈川県平塚市の幹道に初めて適用する。

 当該試験は、研究成果を実証すべく対象となる重交通路線を模索し、日本自動車タイヤ協会(JATMA)の会長企業である横浜ゴム株式会社の製造所が所在する平塚市と協議を重ね、その結果、平塚市の幹道である「真土・金目線」が試験対象路線と決定した。

 当該路線は、平塚市の東西を結ぶ幹線であり、また、試験地域は重交通路線ではあるものの市街化調整区域であるため、道路沿線には民家もなく当該試験を行うにふさわしい路線と考えている。

 工事は、廃タイヤのマテリアルリサイクルを推進する日本自動車タイヤ協会(JATMA)(会長;南雲 忠信)、横浜ゴム(株)が協賛し、東京鋪装工業(株)が施工する。

 

日本AR研究会とは

 同研究会は、廃タイヤの有効なリサイクル方法を探索していた国内タイヤ会社5社から成る「日本自動車タイヤ協会(略称;JATMA)」が、大学や舗装会社に呼びかけ、タイヤ会社5社、舗装会社3社、長岡技術科学大学、中央大学の参画で、2003年に設立した。

 その後、舗装会社5社、改質アスファルト会社4社が加わり、産学共同で研究開発を進めている。

 舗装合材への適用検討では、室内試験を重ね、AR製造条件や施工仕様を構築し、04年から試験施工に取り組んでいる。

 

日本版AR舗装とは

  廃タイヤを粉砕して1ミリ以下のゴム粉状にし、ストレート・アスファルトに混入する。混合装置内で2時間以上高温熟成すると、ゴム粉が膨張して高粘度化したアスファルトができる。これを骨材に混合し、舗装する。

 AR舗装は、骨材表面に厚いアスファルト皮膜が形成され、噛み合わせが強まり、舗装合材強度が向上し、耐久性(ひび割れ抵抗性・わだち掘れ抵抗性)が高い。また、騒音低減効果も期待される。

 ゴム粉の混入率は12~15%。ゴム粉の熟成で粘度が上昇し、チクソ性(粘調性)を有する。

 AR混合物はダレにくく、厚膜化を図れ、標準の機械編成で施工できる。

 密粒舗装を始めとして、排水性舗装、透水性舗装などの高機能舗装への適用も検討している。

 

廃タイヤ マテリアルリサイクルへの取り組み

 日本自動車タイヤ協会によると、廃タイヤは年間約1億本が発生し、そのうち約1割(約1000万本)が、流通在庫等として存在しており、その一部が過剰集積・不法投棄等となっている懸念が持たれている。

 AR舗装では、5平方メートルあたり、廃タイヤ平均1本分を再利用できるという。廃タイヤ問題を解決する舗装材として期待されている。

 

試験施工について

 試験施工は、平塚市真土金目線(幹道22号線)の平塚市北豊田地内 約130メートル。

 2工区に分け、AR舗装と密粒(改質)舗装を行い、目標性能を検証する。

 日本自動車タイヤ協会、横浜ゴム(株)が協賛し、東京鋪装工業(株)が施工する。