6月定例市長記者会見 市制80周年記念展「上村松園と鏑木清方」を開催

平成24年6月28日

平塚市側の説明

落合克宏市長:
  平塚市美術館では、市制80周年記念の事業として「上村松園(うえむら しょうえん)と鏑木清方(かぶらき きよかた)」展を開催いたします。
  上村松園は京都に生まれ、女性として初の文化勲章を受章した近代日本画を代表する画家であります。その品格のある美人画は高い人気と知名度を誇っています。同世代の鏑木清方は東京・神田生まれで、1920年から金沢八景に別荘を構え、戦後鎌倉に住みました神奈川県ゆかりの作家であります。同じく近代日本画を代表する巨匠の一人であります。松園が京都にあって女性のあるべき理想美を求めたのに対し、清方は美術と文学を結ぶ豊かな情感を表して、浮世絵の系統を継いで江戸情緒を回顧し、新たな時代の風俗や季節感を表しました。
 松園展、清方展、もしくは美人画展は多く開催されてまいりましたが、松園と清方という二人の展覧会は、まれであります。10年前に富山県の水墨美術館で開催されて以来、県内では初めての展示となります。両巨匠の代表作はもちろんのこと、京都と東京、女性と男性という対照がみられるとともに、明治前半に生まれ、ありし日の京都の品格、江戸の粋を表現した二人の作品を見直すことは現代のわれわれにとって意義あることだと考えます。
 本展では、松伯美術館、鎌倉市鏑木清方記念美術館の特別協力、東京国立近代美術館の出品協力をいただきまして、さらに日本各地の30カ所から借用・出品する延べ75件の作品を展示し、二人の巨匠の画業を回顧いたします。
 また、美術館は、より学校との連携を深めまして、図工・美術教育での鑑賞教育に力を入れていくために、本展会期中、中学生のためのサマーアートセミナー、先生のための美術鑑賞講座を行い、学校の先生・生徒向けの教育プログラムを充実させる予定です。
 なお会期中、開館時間を延長し、18時までといたします。入場は午後5時30分までです。また午後4時30分から5時30分までは夕涼み割引としまして500円で入場できます。高校生は無料です。なお、会期中は、鎌倉市鏑木清方記念美術館との相互割引なども行いたいと思います。平塚市美術館の半券提示で清方記念美術館入場料割引を行います。
 会期は、 平成24年7月21日、土曜日から9月2日、日曜日までの38日間です。会期中、展示替えを予定しております。
 開館時間は、午前9時30分から午後6時まで、入場は午後5時30分までになります。
 出品作は75件、観覧料は、一般が900円、高大生が500円になります。
 繰り返しになりますが、夕涼み割引が今回はあります。
 関連事業につきましては、当館館長による講演会、学芸員によるギャラリートーク等を予定しております。

 

質疑内容の要旨

Q記者:2人を対称(京都・東京、女性・男性)にすることにおもしろ味があるのか?

A美術館長:昨年美人画家の伊東深水展をしているんですけれども、上村松園、鏑木清方、伊東深水というのは日本3大美人画家と呼ばれています。断トツなんですけれども。特に、松園と清方は生まれたのも3年しか違いませんし、松園が京都で女性であるということで、ちょっと色気はないかもしれないけれども、非常に清潔な感じのする女性の理想像を描いたのに対して、清方は東京の神田の生まれで、まさに下町の江戸っ子ですので、江戸の粋とか、そういったようなものを求めた作家です。やはりそれぞれの作風に違いがありますので、そこが二つ並べたときに違いを見ていただくのも楽しいでしょうし、違うがために単に鑑賞するだけでも結構おもしろいということもありまして、松園のほうが3つ年上ですので、松園を先に言ってますけれども、松園、清方(の展覧会)をすることにいたしました。
A学芸員 松園と清方展というくくりですと10年前に、富山県の県立水墨美術館というところで開催しているようです。ちょっと不勉強ですが、それ以外で見られない。特に松園の方が(作品の)借用が難しい巨匠でもありますので、だいたい清方、松園、深水とそのほかの美人画家たちというくくりで、美人画というくくりではたくさん行われているのですが、やはり松園と清方ですとまれです。しかも県内では初めて、全国的にもまれな展覧会だと思っております。


Q記者:借用が難しいというと、どうして今回それができたのか?

A学芸員:やはり上村松園展は、たくさん行われていますので、そういった今回も芸術の秋にやろうと思ってもなかなかできないというのもあります。またあちこちから借りたいというのもありますので、また借りたい作品が各館でだぶってしまいますので、そういったこともあって、なかなか。

A美術館長:日本画といいますのは、油絵なんかと違って非常に弱いんです。キャンバスなどに描く油絵は頑丈なんですけれども、日本画は絹とか紙に描きまして、そして日本画の顔料も、にかわに溶くものですから、定着力が強くなくて非常に弱いんですね。ですから、あまり年がら年中掛けておくというのは、よくヨーロッパの美術館に行きますと、どこの壁に行ったら必ず同じものが掛けてあるというのはありますよね、日本画というのはそれができなくて、私なんかでも1年にせいぜい2か月の展示じゃないかと思っているんですね。ですから、お借りしますときも、もっと短くとおっしゃるところもありますから、なかなかお借りしにくいということがあります。でもやはり、代表作をどうしても入れたい思いますと、難しいところもあるんですけれども、ですから今回二人展にしたというのは、一つは、その松園展一つだけ、清方展一つだけとしますと、作品を倍集めないといけない、それが大変じゃないかなと。特に松園のほうが、難しいのではないかと。お持ちの方もいい作品ですと、大切にされますから、なかなか嫌という方もいらっしゃいますので。そういうこともありまして、借用するが非常に難しいということなんですけれども、幸い平塚市美術館も私が来たときに比べますと、いろいろ展覧会をしてきましたので、よそからお借りする展覧会が非常に多いんですけれども、ずいぶん信用していただけるようになりましたので、拝借するのも以前と比べたら、楽になってきているんじゃないかと思っております。

A美術館長:一つ付け加えさせていただきたいんですけれども、出品作品、75件と申し上げさせていただいておりますけれども、絵画の点数の言い方なんですけれども、例えば「松竹梅」という作品の中に「松」と「竹」と「梅」、という3幅あるとします。そういったときに、どういう言い方をするかというと1件3点といいます。今回は、75件ですけれども点数でいいますと110点ありますので、割と数は多いのではないかと思っています。

 

その他の質問

質問はありませんでした。 

 
 

※定例市長記者会見における質疑内容を広報・情報政策課広報担当でとりまとめて掲載しています。 

記者発表資料

平塚市
担当 美術館 学芸担当 勝山
電話 0463-35-2111
 

市制80周年記念展「上村松園と鏑木清方」を開催


 平塚市美術館では、平塚市制80周年記念の事業として「上村松園(うえむら しょうえん)と鏑木清方(かぶらき きよかた)」展を開催いたします。
 上村松園は京都に生まれ、女性として初の文化勲章を受章した近代日本画を代表する画家です。その品格のある美人画は高い人気と知名度を誇っています。 同世代の鏑木清方は東京・神田生まれで、1920年から金沢八景に別荘を構え、戦後鎌倉に住んだ神奈川ゆかりの作家であり、同じく近代日本画を代表する巨匠の一人です。松園が京都にあって女性のあるべき理想美を求めたのに対し、清方は美術と文学を結ぶ豊かな情感を表し、浮世絵の系統を継いで江戸情緒を回顧し、新たな時代の風俗や季節感を表しました。
 松園展、清方展、もしくは美人画展は多く開催されてきましたが、松園と清方という二人の展覧会は、まれであり、10年前に富山県水墨美術館で開催されて以来、県内では初めての展示となります。両巨匠の代表作はもちろん、京都と東京、女性と男性という対照がみられるとともに、明治前半に生まれ、ありし日の京都の品格、江戸の粋を表現した二人の作品を見直すことは現代のわれわれにとって意義あることと考えます。
 本展では、松伯美術館、鎌倉市鏑木清方記念美術館の特別協力、東京国立近代美術館の出品協力をいただき、さらに日本各地の30カ所から借用・出品する延べ75件の作品を展示し、二人の巨匠の画業を回顧します。
 また、美術館は、より学校との連携を深め、図工・美術教育での鑑賞教育に力をいれていくため、本展会期中、中学生のためのサマーアートセミナー、先生のための美術鑑賞講座を行い、学校の先生・生徒向けの教育プログラムを充実させる予定です。
 なお会期中は開館時間を延長し、18時(入場は17時30分)までとします。また、16時30分から17時30分までは夕涼み割引として500円(高大生は無料)で入場できます。なお、会期中は、鎌倉市鏑木清方記念美術館との相互割引(清方記念美術館の半券提示で一般900円を720円に、高大生500円を400円に割引、また平塚市美術館の半券提示で清方記念美術館入場料50円割引)を行います。
 

上村松園について 

 上村松園は、1875(明治8)年、現在の京都市下京区四条御幸町の葉茶屋に生まれました。誕生の2カ月前に父が没し、母の手で育てられますが、京都府画学校をへて鈴木松年(すずき しょうねん)、幸野楳嶺(こうの ばいれい)、竹内栖鳳(たけうち せいほう)に学びます。いずれも四条派の系統を汲む三人の師は美人画専門でなかったため、博物館や売立会場(うりたてかいじょう)、祇園祭などで模写を重ね、四条派や浮世絵、やまと絵などの研究をもとに自らの画風を模索しました。生涯一貫して女性像を描き、当初は現代風俗に取材しますが、古典の物語や人物、能や謡曲に取材し、江戸時代に時代を設定するなど、作品に深さと品格を求めていきます。また近代の画家として写生に基づく卓抜な髷や眉、衣装の表現によってリアリティーを追い、簡潔な構図や色面構成によって近代性を表現しました。また晩年には母親を追想し、市井の人物を格調高く描いています。あくまで女性の理想美をうたい、女性初の文化勲章を受章しています。
 

 

鏑木清方について

 鏑木清方は1878年東京・神田に戯作者、條野採菊(じょうの さいぎく)を父に生まれました。浮世絵師の系統である水野年方に学び、挿絵画家となり、日本画制作にあたっては当時の新たな表現方法にも目を配りながら、泉鏡花の作品や芝居、伝説などに取材し、美術と文学の結びついた制作を追求しました。大正期には浮世絵や近世初期風俗画の伝統を研究し、独自の女性像を作り上げていきました。関東大震災によって下町の風物が失われると明治中期の下町の市井の生活を追想する作品を制作しました。
 また清方は展覧会の花形作家となり審査員となる一方、不特定多数の観客に向けて大画面で訴えかける「会場芸術」の風潮に対し、ひとり手に取り卓上に広げて楽しむ「卓上芸術」を提唱します。心静かにこまかい筆さばきや情感を味わうことに主眼がおかれ、主に画巻、画帖に描かれました。画家が楽しみながら描き、鑑賞者は「あぐらをかいて番茶を飲んで、心おきなく楽しめる」ような江戸の日常生活があったのであり、これは東京の下町に生まれ、挿絵画家から始まった清方ならではの視線だったといえるでしょう。

 

市制80周年記念展「上村松園と鏑木清方」

会期      平成24年7月21日(土)~9月2日(日)38日間(会期中展示替を予定)
開館時間  午前9:30~午後6:00(入場は午後5:30まで)
休館日    月曜日
主催      平塚市美術館
出品協力 東京国立近代美術館
特別協力 松伯美術館・鎌倉市芸術文化振興財団・鎌倉市鏑木清方記念美術館
助成   公益財団法人 朝日新聞文化財団
協賛   神奈川中央交通株式会社


会場      平塚市美術館
     〒254-0073 神奈川県平塚市西八幡1-3-3
     Tel 0463-35-2111 Fax 0463-35-2741
     URL http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/
     JR東京駅から東海道線で約1時間。JR平塚駅より徒歩20分。または平塚駅東改札口(北口)より、神奈川中央交通バス4番乗り場乗車「美術館入口」または「日産車体前」下車。無料駐車場70台。

出品作  計75件110点

観覧料   一般900(720)円、高大生500(400)円

  • (  )内は20名以上の団体料金
  • 中学生以下、毎週土曜日の高校生は無料 市内の中学校全生徒、近隣市町小学校の全生徒へ展覧会ちらしを配布します。
  • 各種障がい者手帳の交付を受けた方と付添1名は無料
  • 65歳以上で、平塚市民の方は無料、市外在住の方は団体料金
  • 夕涼み割引 16:30-17:30の入場者は500円(高大生は無料)となります。
  • 鏑木清方記念美術館との相互割引 本展開催中のみ量感の半券提示で割引。

関連事業 
 講演会「美人画の巨匠 松園と清方」(先着150名、申込不要)
        講師:草薙奈津子(当館館長)
        7月21日(土)午後2:00~3:30 ミュージアムホール
 学芸員によるギャラリートーク (申込不要、要観覧券)
        7月29日(日)、8月12日(日)、26日(日)午後2:00~3:00

同時開催  美術の中のこどもたち 特別展示 新発見!!川村清雄《滝》
        7月28日(土)~9月17日(月・祝)