平塚海岸で2年ぶりにアカウミガメのふ化を確認

平成27年9月2日

平塚市博物館
担当 学芸担当 栗山
電話 0463-33-5111
 

平塚海岸で2年ぶりにアカウミガメのふ化を確認

 
 平塚海岸で2年ぶりにアカウミガメがふ化したことが確認されました。
 6月24日に市民からの通報があり、市博物館学芸員と新江ノ島水族館学芸員などが調査しました。8月31日に産卵巣を確認した結果、合計152個の卵があることが判明し、うち110個のふ化を確認しました。
 
平塚海岸でのウミガメの産卵・ふ化状況
産卵日 6月24日
脱出日(推定) 8月23日
卵の総数 152個
砂から脱出した子ガメの数 110個
脱出率 72.36%
 

海岸でウミガメに出会ったときの注意点

  • 親ガメ編
ウミガメに近づきすぎないでください。
 大きな音を出さないでください。
 懐中電灯の光を当てたり、フラッシュ撮影をしないでください。
 産卵後、掘り返したり、卵を持ちだしたりしないでください。
 巣穴やその周りを踏み固めないでください。
  人の気配がしたり、驚いたりすると産卵を止めてしまいます。一旦産卵を始めると止めることはあまりありませんが、カメにとっては強いストレスになってしまいます。産卵後に卵を触るとふ化できなくなることがあります。
 
  • 子ガメ編
 子ガメに触らないでください。
 懐中電灯の光を当てたり、フラッシュ撮影をしないでください。
  子ガメは海に帰るまでに様々なことを学習しています。可能な限り、自力で海まで戻るよう見守ってあげましょう。また、海の明るさを頼りに海に向かって行きますが、このときに地磁気などから方角を学習しているといわれています。このときに強い光を当てられると方向感覚を失って、海に戻れないばかりか、その後の成長にも影響する可能性がありますので、懐中電灯やカメラのフラッシュには十分気をつけてください。
 
 

参考資料

アカウミガメ
   日本近海でもっとも普通に見られる種類で、神奈川県で産卵するウミガメはアカウミガメのみ。6月~8月の夜に上陸し、深さ50cm程の穴を掘って産卵する。一度に産卵する卵の数は100~150程度。卵は白色で直径4cm程度。しばしば無精卵で、産卵されたものの、発生せず、ふ化しないこともある。
   砂中に産み落とされた卵とその卵のある空間のことを、産卵巣と呼ぶ。卵は産卵巣の中で発生が進み、産卵後約2か月でふ化・脱出する。ふ化後数日から一週間は産卵巣内にとどまり、その後産卵巣から出てくる。子ガメが産卵巣から出ることを脱出と呼び、一般にウミガメのふ化と呼ばれている現象は、脱出時のことをさしていることが多い。脱出は夜中に行い、脱出した子ガメは海の明るさを頼りに、海に向かって行く。このときに地磁気などから方角を学習しているといわれ、このときに強い光を当てられると方向感覚を失って、海に戻れないばかりか、その後の成長にも影響する可能性が示唆されている。
   アカウミガメの成体は甲らの長さが80~100cm程度、卵から出たばかりの子ガメは甲らの長さが4~4.5cm程度。