発達障がいについて 発達障がいは、自閉症、アスペルガー症候群等の自閉症スペクトラム障がい(広汎性発達障がい)、学習障がい(LD)、注意欠陥/多動性障がい(AD/HD)、その他のこれに類する脳機能の障がいであって、通常低年齢において症状が現れるものとされています。自閉症には知的障がいを伴う場合と伴わない場合(高機能自閉症)があります。 主な特徴 ●自閉症スペクトラム障がい(広汎性発達障がい) 自閉症は、人とのかかわりが苦手である、コミュニケーションが上手にとれない 、興味や関心の範囲が狭く特定の物や行為へのこだわりを示すなどの特徴を持っています。高機能自閉症やアスペルガー症候群は、自閉症の特徴を持ちながらも知的発達の遅れを伴わないので、障がいに気づくことがさらに遅れやすいと言われています。 ※最近では「広汎性発達障がい」にかわり、「自閉症スペクトラム障がい」という呼び方が多く使われるようになってきました。平成25年に改訂された、アメリカ精神医学会の診断基準(日本で最も妥当性、信頼性があると認識されている診断基準)においても、「広汎性発達障がい」という呼び方がなくなり、「自閉症スペクトラム障がい」が使用されています。 ●学習障がい(LD) 知的発達に遅れがないにもかかわらず、読み、書き、計算といった特定の能力に遅れが見られます。 ●注意欠陥/多動性障がい(AD/HD) 忘れ物が多い、時間や物の管理ができない、集中力が続かない、じっと座っていられない、気持ちがそれやすく衝動的な行動をするなど、自分の感情や行動をうまくコントロールできないところが見られます。 ●発達障がい特有の言動は、親の育て方やしつけの問題と思われがちですが、そうではなく、脳の機能の一部がうまく働かないことが原因です。外見からはその障がいの本質がわかりにくいため、他人から誤解されることも多く、本人や家族は実生活上の困難を抱えています。周囲の方々の理解と、一人ひとりに合わせた継続的な支援が必要となります。 発達障がいの人と接するときは 発達障がいの方は、場面にあった会話や行動ができなかったり自分の気持ちをうまく伝えられないために、周りから変な人と誤解されたり、人づきあいがうまくいかないなど、社会生活を送る上でさまざまな困難が生じます。その人の特性を理解し、本人が受け入れやすい働きかけを工夫することで本人の気持ちが安定し、能力を発揮することができます。次のような点に配慮しましょう。 ●叱ったり責めたりせず、穏やかな口調でゆっくりと話す ●「走らないで!」ではなく「歩きましょう」といった肯定的な言葉で声をかける ●目で見てわかりやすい情報(文字や絵・写真など)を利用する ●活動の手順は事前に説明し、混乱を招くような予定の変更は避ける ●指示は一つずつする(二つ以上の事を同時に処理するのが困難) ●説明は短めにする(聞きながらメモを取ることが苦手) 街で出会ったときは 発達障がいの方は、一見変わった行動(突然大声を出す、ひとり言を言う、ぴょんぴょん飛び跳ねる、奇妙な手つきを繰り返すなど)をとったり、要領よく物事を進められなかったり、衝動的な行動をとってしまうこともありますが、他人を困らせようという悪気があるわけではありません。独特の言動に戸惑ってしまうこともあるかもしれませんが、「そうせざるを得ない事情がある」ということを理解していただくだけで、本人も家族もずいぶん楽になります。同じ地域に暮らす社会の一員として暖かく見守ってください。