高次脳機能障がいについて 高次脳機能障がいとは、何らかの原因で脳が損傷を受けることによって起きる、注意・記憶・社会的行動などに関する障がいです。脳が損傷を受ける原因としては、次のようなものがあります。 (1)交通事故や転落事故などで頭を強打することによる外傷性脳損傷 (2)脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管障がい (3)一酸化炭素中毒などの低酸素脳症 主な特徴 ●注意障がい ・集中力が続かない ・同時に二つのことができない ・気が散りやすい ●記憶障がい ・人や物の名前、行き先や場所を忘れてしまう ・新しい知識を覚えることや、忘れないようにすることが苦手 ●遂行機能障がい ・一つひとつ指示されないと行動できない ・優先順位を決めて効率的に作業を行うことが難しい ・臨機応変な対応が難しく、場当たり的になりやすい ●失語症 ・言いたい言葉がなかなか出てこない ・話は聞こえているのに、その内容を理解できていない ・字の読み書きができない ●情動面の障がい ・こだわりが強い ・態度や気持ちを適切に表現することが苦手 ・感情、自己コントロールの低下(イライラしやすい、落ち込みやすい、怒りっぽい) 知ってほしいこと 高次脳機能障がいは、外見からわかりにくく、周りの人から十分に理解を得ることが難しいため、誤解をされてしまうことがあります。また、複数の症状が重なって現れ、以前できたことが苦手になってしまう場合があるため、本人や家族の社会生活に大きな影響を及ぼします。 【例】 ●注意障がい(集中力が続かない、気が散りやすい)のため、「作業が遅い」「仕事をまかせられない」と思われたり、記憶障がい(人の顔や名前、約束や予定を忘れる)のため、「あてにならない人」と思われたりしてしまいます。 ●車の事故を起こし、どうしていいかわからずに逃げ帰り大きなトラブルになったり、だまされて高額な契約をさせられたりすることがあります。 ○高次脳機能障がいの方も、習慣や技能のような体で覚える力は比較的保たれています。行動をパターン化し、繰り返し習慣化するとできることが増えていきます。携帯電話のメールやメモ、アラームなどの機能を使ったりすることも有効な支援です。