塚越古墳の周溝確認調査 相模国領域内で最大規模の前方後方墳と確定

平成19年8月2日

平塚市
担当 社会教育課文化財保護担当 上原
電話 0463-35-8124

塚越(つかごし)古墳の周溝確認調査
相模国領域内で最大規模の前方後方墳(ぜんぽうこうほうふん)と確定

 
調査機関  平塚市教育委員会
 
調査日時  7月23日から7月25日までの3日間
 
調査場所  平塚市北金目 塚越古墳(遺跡番号 平塚市No.8)
 
調査目的  古墳の形態を解明することによって歴史的な位置付けを明確にし、保存・活用に際して基礎資料を得るための周溝の範囲確認調査
 

調査経緯と結果   
 古墳時代前期に築造された塚越古墳は、昭和33年(1958年)の調査当時より墳丘の形から前方後円墳と認識されてきました。しかし、平成6年(1994年)12月から平成7年(1995年)3月にかけての神奈川県教育委員会の調査によって、周溝外側の形状から前方後方墳の可能性が指摘されました。平成15年(2003年)3月に実施した平塚市教育委員会による調査は、周溝外側の範囲確認を目的としたこともあり墳形の確定までにはいたりませんでした。
 そこで今回、古墳の形状を反映する周溝の内側を3箇所確認しました。このうち南に設けた調査区では前方部から後方部へのつながりを確認し、残りの2箇所と過去の調査成果より前方後方墳であることが確定しました。また、現在残る墳丘の形は近世になってから部分的に削平を受けているものの、周溝の保存状態は良好で古墳の形態を現在まで伝えてくれることも分かりました。なお、今回の調査は遺構の範囲確認が目的であり周溝を掘っていないため、古墳に伴う遺物は出土していません。
 

  • 塚越古墳の写真

所見
 墳丘が残る前方後方墳は県内でも数が少なく、横浜市戸塚区の東野(ひがしの)台(だい)古墳群2号墳、横浜市青葉区の稲荷前(いなりまえ)古墳群16号墳、海老名市の秋葉山(あきばやま)古墳群4号墳、茅ヶ崎市の十二天古墳群1号墳など数えるほどしかありません。さらに塚越古墳は周溝を含め長さおよそ58mで、前方後方墳として相模国領域内で最大の規模を誇ります。
 塚越古墳のような4世紀の年代が与えられる古墳は、河川がもたらした肥沃な耕地を生産基盤とする首長の政治的支配の出現を意味し、ヤマト政権との関わりや、地域の成り立ちを考えるうえでも欠かせない貴重な文化財といえます。特に前方後方墳は一般的な前方後円墳と異なり、独自性を想定させる地域の歴史には欠かせない遺跡です。
 

  • 古墳調査位置図