平塚市民病院で窒息による死亡事故発生

平成21年2月17日

 
平塚市
担当 市民病院 医療安全管理室 真間
電話 0463-32-0015
 
 

平塚市民病院で窒息による死亡事故発生

 
 
 平塚市民病院に入院中の患者が食事をのどに詰まらせて窒息死する事故が発生しました。食事提供過程の一部でミスが判明したため、医療事故として平塚警察署に報告。病院と同署で事故との因果関係を調べるとともに、遺族に事故内容等を説明しました。
 
 平塚市民病院 (石山直巳病院長 平塚市南原1-19-1 506床)
 

患者概要

 
女性 79歳 平塚市
 
入院日 平成21年2月14日(平塚市内の病院から転院)
 
主病名 右足大腿骨頚部骨折(みぎあしだいたいこつけいぶこっせつ)
 

事故概要

 
発生日時 平成21年2月15日午前8:40ごろ
 
発生場所 平塚市民病院整形外科病棟 個室
 
死亡原因 誤嚥(ごえん)による窒息死
 

事故までの主な経緯

 
=平成21年2月14日(土)=
 
午後
1:04 入院。患者登録時の食事オーダーは「常食」として自動入力
 
3:05 栄養科にて全患者のメニュー票を出力。
 
4:23 病棟看護師が、79歳で常食は出せないと判断し、夕食の食事オーダーを高齢者向けの「軟食」に変更(栄養科に食事箋が自動出力される。)
 
5:35 病棟に配膳(常食)
 
5:59 栄養士が、変更された食事箋が出力されているのを発見し、「軟食」作成を指示。
     夕食はすでに配膳されており、患者は家族に見守られながら常食を摂取
 
6:18 前病院からの情報に基づき、看護師は翌朝食の食事オーダーを「軟食」から「エネルギーコントロール食」(主食:全がゆ/副食:刻み)に変更入力した。
 
=平成21年2月15日(日)=
 
午前
8:20 看護師が病室に「エネルギーコントロール食」の朝食を配膳し、ベッドを90度傾けて上体を起こす。スプーンを使ってむせることなく食事を進めており、そしゃく状況、飲み込み等に問題がないことを確認して退室
 
8:30 主食の米飯及び副食のサワラの白焼きは完食。副食のキャベツとニンジンのソティが残っており、看護師の「野菜も食べて」との声かけに「うん」と返事
 
8:40 看護師が、ベッド上でうなだれて嘔吐している患者を発見。
     応急処置を施すとともに医師に連絡。
     吸引や心肺蘇生措置を繰り返したものの回復せず、死亡確認(9:42)
 

食事オーダーにおける確認等の誤り

 
「常食」から「軟食」、「エネルギーコントロール食」への変更に伴う連絡不足
看護師等が午後3時以降(翌日の食事は午後4時以降)に食事内容を変更した場合は、必ず栄養科に電話連絡するルールになっているものの、この手続きを省略
 
食事箋に記載された「主食全粥、刻み」との指示の確認不足
オーダー内容が印字される食事箋には正しく記載されていたものの、食事を準備する際に管理栄養士が確認を怠り、全粥、刻みではない形態(米飯、副食は刻みでない)で出した。
 
  • 変更指示された食事
エネルギーコントロール食(1200Kcal、塩分3g) 「全粥、刻み(野菜などの副食を約1mmに裁断)」
 
  • 実際に配膳された食事
エネルギーコントロール食(1200Kcal、塩分3g) 「米飯、野菜などの副食を千切り状に裁断」
 

平塚市民病院の対応

 
  • 平塚警察署に報告するとともに、該当患者への食事オーダーの記録を再確認
  • すべての入院患者への配膳内容を再確認
  • 遺族宅を訪問し、謝罪した上で事故の経緯を説明
 

再発防止策

 
  • 食事オーダーシステムの見直しと、配膳時のチェック体制を検証し改善
  • 医療安全研修を強化するとともに、マニュアルに添った院内ルール(定時外での食事変更での電話連絡)の徹底