9月定例市長記者会見 美術館開館20周年記念展「伊東深水-時代の目撃者」を開催

平成23年9月22日

平塚市側の説明

 

落合克宏市長:
  美術館が開館20周年を迎えました。今年度3回目の企画展となります目玉の企画展ということで「伊東深水展-時代の目撃者」を開催させていただきます。
   これにつきまして説明を申し上げます。
  平塚市美術館は2011年に開館20周年を迎えました。その記念すべき年の一番大きな企画展として「伊東深水展-時代の目撃者」を開催いたします。日本近代美術史の巨匠、伊東深水を回顧し、代表の作品約100点を展示いたしまして、戦後湘南につらなる鎌倉、逗子に住んだゆかりの作家を振り返りたいと考えております。
   本展では、神奈川県ゆかりの作家として取り上げるにあたり、単なる美人画家としてだけでなく浮世絵師としての側面、新版画といった多面な創作活動、風景画家として初期から晩年に至る約100点の代表作等を展示によって紹介させていただきます。 
  資料の後段にあります平塚市美術館は湘南地方ゆかりの日本画家の展覧会を毎年開催させていただき高い評価をいただいてまいりました。深水は戦後、昭和24年から没する昭和47年まで湘南地方に住みまして、戦後日本の世相を象徴するような明るい女性像を描き、近代日本美術史に幾多の代表作を遺しております。現在のきびしい世相のなかで改めてこうした深水の画業を振り返ることは大きな意味があるのではないかということで、今回取り上げさせていただいたものでございます。 
 一番下の開館20周年記念展の内容でございます。
   会期は、平成23年10月22日土曜日から11月27日日曜日まで32日間、 開館時間午前9時30分から午後5時まで、入場は午後4時30分まで、休館日は月曜日となっております。
   それから、ここで特に紹介させていただきたいのは、関連事業のところを見ていただきますと、10月22日から始まりまして、2日目の10月23日日曜日午後2時から3時まで、美術館内ミュージアムホールにおきまして、伊東深水氏の令嬢の朝丘雪路氏をお迎えし、草薙館長が聞き手となって、「父を語る」というテーマで対談をさせていただきます。これは、当日整理券を配布して、先着150名という形になりますけれどもこういう関連事業も考えているところでございます。ぜひ、大きな企画展でございますので、市内外からおいでいただきますようお願い申し上げたいと思います。
 

質疑内容の要旨

Q記者:対談の整理券配布は何時からか?
A市美術館長:はっきり決まっておりませんけれども、その日非常に早くからお客様がいらっしゃいますと、少し早めにお配りすることになると思います。

Q記者:もしよければ来たい方がいらっしゃると思うので何時から配布とやっていただけると混乱がないかなと思うが?

A市美術館長:はい 。

Q記者:長らく所在不明であった出品作、社会派画家としての一面など説明を聞きたいが?
A市美術館長:まず深水は、一番最初社会派画家といったほうがよいような、というのは深水はものすごく苦労して、子どものとき、10歳ぐらいから働きに出るという境遇であったということもあり、時代そのものが明治末ぐらいから貧しい時代であったということもあって、社会派的な面を持っていたんだと思います。ですから「乳しぼる家」などもそうですけれども、労働者を描いている場合もとても多くて、新聞配達の子どもを描いたりとか、そういうのから始まっているんですね。ただやはり先生がたまたま鏑木清方だったこともあって、清方はもう美人画家としてすでに有名でしたので、おのずとそういう方向になっていったんだと思います。ですけれども、自分が浮世絵師の系統をひいているということを自覚してまして、その浮世絵師というのは本来浮世を描くもの、浮世というのは現世ですよね、今の世の中を描くものだと、いちばんそういう現世を表しているのが女性の着物であったり、服飾品であったりするという、芝居が江戸時代後半は盛んでしたので、芝居の役者絵なんかを描くのが、比較的浮世を表しているし、人気があるとかいうこともあって、浮世絵師イコール美人画とか役者絵というふうにわれわれ思ってしまうんですけれども。基本的に浮世を表すもの、現世を表すもの、ですから深水の美人画というのは、基本的に美人が多いですけれども、割と時代と連動してまして、その時代がものすごくこうロマンティシズムの時代、例えば大正時代ですとやはりそういう傾向になりますし、それから戦争に向かっている時代ですと力の芸術ということを深水は言っていますけれども、非常に力強い女性を描く。それから、今回のポスターとかチラシに使いました作品なんかもやはりそういう非常にたくましい女性を深水は好きだったんじゃないかと思うんですけれども、戦後もなよなよした美人ではなく、非常に個性的な、ある意味で肖像画的な女性像になっている、そこがやはりすごく深水のおもしろいところだと思います。日本画というのは、人物を個性的にとらえることはしないんですけれども、そういったなかで、深水が美人画をさらに人物画にして、そして肖像画にしていったという面もおもしろいと思います。
 それから今回新発見作品が5点あるんですけれども、これはですね、深水展というのは今まで百貨店でしている場合が結構あったんです。けれども、百貨店でしますとあまり調べるということはしないで、今まであるものだけでやっているという傾向があったんですけれども、やはり美術館でするからには、きちんと調べなければいけないということで調べた結果、5点ほど新発見作品がでてきたんです。その中でもチラシやポスターになっております昭和17年の「皇紀二千六百二年婦女図」というものは作品としてとてもおもしろいですし、同じ年の文展に出品された「海風」があるんですけれども、文展に出品されたということで非常に大きな作品でございますけれども、そういったものが出てきたと。それから制作年は分からないんですけれども、やはり大きい作品が一点でてきています。
 深水は美人画家として有名なんですけれども、風景画もなかなかよくて、風景画も今回けっこう展示します。それから戦争中の南方風俗なんかは風俗画と同時に南方の風光もよく表していますけれども、風景画でも「古井戸」という非常に珍しい、井戸とかえるを描いたものもでてきましたので、深水の新しい面を見ていただけるのではないかと思います。
 

その他の質問 台風15号の際の防災行政無線の放送


Q記者:昨日の台風に伴う警報発令時等に防災行政無線が流れなかったのはなぜか?

A防災危機管理部長:防災行政無線につきましては従来から、警報の発令の際は放送はしてございませんでした。避難の場合ですとか市民が緊急に対応をしていただく場合に放送をしているものです。警報につきまして、防災行政無線で放送している市町等もあるんですが、それが平塚市の状況と違う部分もございますので、より市民の方たちに避難とかの緊急事態に対応してもらうものに対して、防災行政無線で放送しているものです。
   また、須賀新田地区への避難勧告については、須賀新田地区の所だけ放送させていただきました。
A市長:昨夜、避難勧告を出したのが相模川の左岸、相模川を渡って東側のところでございましたので、そちらには消防の隊も事前に行っておりまして、避難勧告が出る前の状況について地域の方たちに、避難勧告が出るかもしれないと、そのことについても自治会等を通してお話しはさせていただいてたと聞いております。避難勧告を出したときには、そこに防災行政無線塔がありますので、その地域エリアには防災行政無線を流させていただきました。

Q記者:光化学スモッグなどの警報のときは出し、大雨や風に対して流さないのは市の方針か?ほかの市では停電のときにも出しているようだが?

A防災危機管理部長:前回の東京電力の計画停電のときは流させていただきました。ただ、警報につきましては、実際市民の方たちに危険が迫るとか、避難行為をとるとか切迫したような状況があればお知らせします。ただ光化学スモッグとかは実際子どもたちが屋外で遊ぶときに注意していただかなければいけない状況がありますので、それは直接的に身体に影響があるということで放送はさせていただきます。

Q記者:避難に関するもの以外は流さないというのが運用方針なのか?

A防災危機管理部長:直接的に市民に身体等に被害が及ぶ恐れが強いものについては流しているということです。ですから、そのときどきで、警報が出ましたという放送よりも、洪水の危険がありますとか、避難ですとかそういう状態になったときにお知らせしているものです。
A市長:22年度の実績がありますのでお伝えします。防災行政用無線は防災のみに限らず、部長が申し上げました通りいま広く身体等、生活するのに支障があるものを中心に流しております。22年度96回でございます。行方不明者の捜索37回、計画停電31回、光化学スモッグの注意報発令解除9回、その他振り込め詐欺等が8回、となっております。

Q記者:今のは22年度ですか?

A市長:22年度、前年度です。

Q記者:停電のときは流しているわけですね?

A市長:昨日も東電には随時問い合わせはしておったんですが、なかなか復旧時間など具体的な時間や情報が入ってこなかったというのが実情でございます。ですから、今後反省としては風水害の災害においては、とくにライフライン、電気については市民のかたは不安を感じるわけでございますから、ラインを強めて受けられる体制をしなければいけないなというのが反省ではございます。それは考えていかなければいけないと思っております。

Q記者:実際にそういうことを行っていくと考えてよろしい訳ですね?

A防災危機管理部長:東電さんに対応していただければなんですが。昨日の状況でも東電さんとほとんど連絡をとれない状況です。ですからかえって停電等の放送をしますと、市民の方も停電でないところもあるので、その停電の問い合わせの本数のほうが、実際に被害の応援の要請よりも上回ってしまって、実際の被害の所の電話が遅れてしまうということも考えられますので、実際に東電さんから逐次連絡がいただけるということであれば考えていきたいと思います。

Q記者:東電が連絡をくれるというようなホットライン的なものをつくる交渉をされるということですね?

A防災危機管理部長:はい、そうです。

 

定例市長記者会見における質疑内容を広報・情報政策課広報担当でとりまとめて掲載しています。

 

 

記者発表資料

平塚市
担当 美術館 学芸担当 勝山
電話 0463-35-2111
 

美術館開館20周年記念展「伊東深水 時代の目撃者」を開催


   平塚市美術館は2011年に開館20周年を迎えました。その記念すべき年の一番大きな企画展として「伊東深水展-時代の目撃者」を開催いたします。
   日本近代美術史の巨匠、伊東深水を回顧し、代表作約100点により、戦後湘南につらなる鎌倉、逗子に住んだゆかりの作家を振り返ります。
   本展では、神奈川県ゆかり作家として取り上げるにあたり、単なる美人画家として捉えられがちな深水の、当代の女性風俗や社会の労働者や貧困層を写しとった浮世絵師としての側面、さらに大きな芸術運動となった新版画といった多面な創作活動、さらには風景画家としての深水像を初期から晩年に至る約100点の代表作・優作の展示によって、師である鏑木清方や京都を代表する上村松園という美人画家とは一味も二味も異なる作風と生き方を紹介するものです。
   また展覧会図録でも、出品作品図版に加え、このような深水の側面をテキスト、年譜、参考文献を提示し、浮き彫りにします。 
   平塚市美術館は湘南地方所縁の日本画家の展覧会を近年開催し高い評価を得てきました。深水は戦後、昭和24年から没する昭和47年まで湘南地方に住み、戦後日本の世相を象徴するような明るい女性像を描き、近代日本美術史に幾多の代表作を遺しています。現在のきびしい世情のなかで改めてこうした深水の画業を振り返ることには大きな意味があることから、今回取り上げることにしたものです。 
 

伊東深水

   1898年東京深川に生まれた伊東深水は、1949年以降神奈川県鎌倉市さらに逗子市に過ごしますが、美人画家として一世を風靡し、近代日本画壇に多大な足跡を遺しました。
   歌川国芳、月岡芳年、水野年方、鏑木清方と続く歌川派浮世絵の系統をひく深水は、浮世絵とは浮世つまりその時代を表わすもの、という強い信念から、普遍的・観念的な美人というよりも、自分の生きた時代の女性像を描きました。したがって明治から昭和戦前の着物姿の女性から、戦争中のたくましい女性や南方風俗、そして戦後は和装・洋装を問わず意思的・個性的な女性の肖像画に本領を発揮しました。このような深水が描く女性像は、現代の我々にもなじみやすく、共感を呼ぶものです。
   また大正から昭和にかけて盛んに制作され、今また脚光を浴びる新版画にも豊かな才能を発揮しました。
   さらに遡って、明治末から大正初期には社会の底辺で生活する人々にも目を向けています。
   現在までに開催された伊東深水展としては、美人画の巨匠として取り上げるものが多く、そごう美術館(1987年)、京都・五浦・弘前巡回展(2006年)ほか、近年にはスケッチ類や言説を通じてその素顔に迫ったもの(目黒区美術館)がありました。
 

開館20周年記念展「伊東深水-時代の目撃者」

   会期 平成23年10月22日(土)~11月27日(日) 32日間
   開館時間 午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)
   休館日 月曜日
   主催 平塚市美術館
   共催   日本経済新聞社
   助成 芸術文化振興基金
   協賛   神奈川中央交通株式会社

   会場 平塚市美術館
     〒254-0073 神奈川県平塚市西八幡1-3-3
     Tel 0463-35-2111 Fax 0463-35-2741
     URL http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/
     JR東京駅から東海道線で約1時間。JR平塚駅より徒歩20分。または平塚駅東改札口(北口)より神奈川中央交通バス4番乗り場乗車「美術館入口」または「日産車体前」下車。無料駐車場70台。
出品作  《指》(1922年、平和記念東京博覧会展出品)
     《宵》(1923年、埼玉県立近代美術館蔵) 
     《鏡獅子》(1934年)
     《皇紀二千六百二年婦女図》(1942年、株式会社大和証券グループ本社蔵)
     《聞香》(1950年、東京国立近代美術館)
     《古曲の人たち》(1956年、新橋演舞場)
     《愚痴》(1959年)
     《娘道成寺を踊る吾妻徳穂》(1965年、日本芸術文化振興会・国立劇場)
     《菊を活ける勅使河原霞女史》(1966年、財団法人 草月会蔵)ほか    計101点

   観覧料  一般900円、高大生500円
   20名以上の団体料金は一般720円、高大生400円
   中学生以下、毎週土曜日の高校生は無料
   各種障がい者手帳の交付をうけた方と付添1名は無料
   65歳以上で、平塚市民の方は無料、市外在住の方は団体料金、和服の方は割引あり

   関連事業 対談「父を語る」(当日整理券配布、先着150名)
    お話:朝丘雪路氏、聞き手:当館館長 草薙奈津子
    10月23日(日)午後2時~3時 ミュージアムホール
   講演会「伊東深水の芸術」(申込不要、先着150名)
      草薙奈津子(当館館長)
    11月13日(日)午後2時~3時30分 ミュージアムホール        
   学芸員による展示解説(申込不要、要観覧券)
     10月29日(土)、11月12日(土)、26日(土)午後2時~3時 展示室
 

平塚市美術館開館20周年

   平塚市美術館は、平成23年度に開館20周年を迎えました。平成3年3月に開館した当館は、「平塚市美術館開館記念 スイス プチ・パレ美術館名品展」を皮切りに、海外展から湘南ゆかりの作家までを紹介する展覧会を総計97回開催しています。
入場者数1位:わたしがえらんだ いわさきちひろ展・39844人 平成21年
2位:平塚市美術館開館記念 スイス プチ・パレ美術館名品展・38911人 平成3年
3位;平塚市美術館開館5周年記念展 ミレーとバルビゾン派の画家たち・36774人 平成8年
その他、ワークショップなどの教育活動、アートギャラリーで市民に親しまれてきました。