10月定例市長記者会見 市民病院に高機能320列CTを導入

平成24年10月26日

 

平塚市側の説明

落合克宏市長:

 今日の定例記者会見は、皆様に市民病院までお越しいただきまして、こちらの市民病院大会議室から発表させていただきます。
  市民病院では、救命救急医療に対応できる検査、幅広い領域での診療機能の向上などを目的にいたしまして、県内の公立病院で初めて高機能320列CTを10月末から導入いたします。
  皆様御承知のとおり、CTとは、エックス線を利用いたしまして、体の断面図を画像化する診断装置でございます。
  今回、高機能320列CTを導入することにより、迅速な全身外傷検査や、心筋梗塞の診断などで血流や心臓などの動く状態を高度画像解析することなど、検査、診療機能の向上を図ることができます。                                                                                        
  今回、この高機能320列CTの導入には、大きく5点のメリットがございます。
  1番目といたしまして、迅速な全身外傷検査実施が可能となることから1分1秒を争う救命救急医療の診断性能の向上が図れます。
  2番目といたしまして、エックス線の被ばく量が低減されます。
  3番目といたしまして、従来、当院では、心臓動脈の検査は入院していただいきカテーテル検査を行っておりましたが、今後は、日帰りでこの高機能320列CTを利用することによりまして、患者様の身体的な負担が少ない検査での診断が可能となります。
  4番目といたしまして、心臓や頭部など幅広い領域においての診断性能の向上が図れます。  
  5番目として、院内画像解析システムによりまして、3次元画像をすべての外来、病棟ですみやかに見ることができるようになります。
  以上5点のメリットがございます。
  こうした検査、診療機能の向上を生かしまして、これからも急性期病院としての医療の提供と地域医療への貢献を担う所存でございます。
  この高機能320列CTについては、後ほど現場に御案内いたしますので、実際に御覧いただきたいと思います。なお、技術的な内容や御質問については、その場で担当がお答えいたします。
  今後、市民病院では、この高機能320列CTを活用しいたしまして、来年の1月から心臓や血管に疾患のある方の診断や治療がスムーズに行えますよう、関係診療科を1つのチームとしてまとめまして、(仮称)心臓血管センターを設置する予定でございます。

 

質疑内容の要旨

 
Q記者:県内公立病院で初めてという意味(機能的に)は、どういう意味か?
A市民病院担当者:320列CTは県内で数台、入っているんですけれども、県内公立病院として導入するのは(平塚)市民病院が初めてということであります。高機能という意味においては他のメーカーとの差別化ということで、うちのこの320列CTに関してはADCT、いうなればArea Detector搭載型のCTだということです。
A市長:簡単にいうと、さきほど事業管理者から話を聞いたんですけど、CTをぐるっと回してそれぞれ断面を撮っていく、今まで例えばうちの病院では16列というのが入っていたんですけれども、320列ですと1回ぐるっと検査をするだけで、極端な話、全身全部が、言い方は悪いですけれども輪切りになって、いろんな形で総合的に機能が高まる、すべてその辺のデータが一瞬にして、出てくるという意味だそうです。
A市民病院担当者:従来の列が増えたCT、16列とか64列のものは基本的には、体を斜めの輪切り、いわゆるヘリカルCTと言われると思うんですが、らせんの形で撮るのが基本になっていたのです。この320列CTを使うと比較的上下方向となり、範囲が広いので、全身すべてではないですが、心臓や頭などが輪切りではなく、同じ場所でぐるっと回転するとその場所の写真が一度に撮れるという特徴があります。そのような特徴をうまく利用すると同じ場所で何回か回すことによって違う時相の写真をも撮り続けることができるので、いわゆる3DCTといっていた以上に、4DCT、時間の変化も同時にとらえるような活動もできるというような言われ方をしております。そういうようなものが、心臓だけではなく、頭、脳の循環器病に関しても、脳出血なども4DCTを使うと同じ場所で、長い時間にわたって、出血の状態や腫瘍の栄養のされ方などを見ることができますので、こういうメリットもあるということで、こちらを選択させていただきました。

Q記者:従来のものは16列や64列ということか?
A市民病院担当者:当院で使っていたのが16列ということで、世間でよく普及しているものは64列で、最近の病院での高機能機としては通常64列が選ばれております。そのほか、病院によっては、管球が2つのっているようなタイプなどがありますが、それらに関して言うと、コンセプトの違いですので、管球2つある方が性能がいいとか、列が多い方が性能がいいとか、一概には言えないですが、少なくとも64列のCTより一歩上の最新型の世代に相当すると思います。
 
Q記者:日本全国ではどうか?
A経営企画課長:国内では、そこまでは情報を得ていませんが、神奈川県内ですと7番目ということになります。その他の6病院については公立病院以外の施設で、7番目として導入したのですが、公立病院としては初めてとなります。
 
Q記者:メリットとしては速いということと、画像も今までと違ったものが撮れてくるということか?
A市民病院担当者:CTの速さというものに関しては、速いというのが一義的にあるんですが、速いことによって、逆に言うと同じ時間で長い幅を撮れる、もしくは同じ幅を同じ時間で撮るのであれば、細かく撮ることができる、という3つの因子がありまして、単純に列が倍になったから倍の速度で撮れるというよりは、だいたい列が倍になった分を速度と分解幅と時間に振り分けてうまく利用すると今回、列が20倍になりましたが、実際に20倍速く撮れるという意味ではないかと思います。


Q記者:既存のCTの更新は何年ぶりなのか?
A市民病院担当者:既存のCTが動いておりますけれども、16列のCTが平成20年3月(導入)です。
A事業管理者:補足になりますが、既存の16列のCTは仮設の救急棟に移します。そして、そこで稼働させる。そして、放射線室の方には、320列ともう1台64列を入れていくという形になります。当院は、3台のCTで活動していくと御理解ください。

Q記者:64列は今あるのか?
A事業管理者:まだありません。新たに入れます。この320列と64列を同時に買いましたので、ただ、場所を移したり、内装の工事その他の関係で64列が遅れたと御理解ください。


Q記者:いくらなのか?
A経営企画課長:今回CTを導入するに当たって、X線テレビと64列のCTと320列のCTの3機種を同時に購入しています。その同時に購入した合算額が2億3千940万円になります。


Q記者:公立病院でCTが3台体制というのはどうなのか?
A市民病院担当者:現状なんですが、救急に特化したCTと考えております。救急の施設から非常にアクセスのよい場所に設置しております。現状の放射線科の場所というのが、現在の救急棟からもすぐに30秒とかで来られる場所ではないですし、仮設救急棟に関してもやはり、少なからず時間もかかります。ですので、非常に素早い診断をするために救急用のCTというのが別に用意されております。また、通常のCTというのが予定検査が入っておりますと、そちらの時間帯を救急に振り分けてしまった場合に予定された患者様が、いつまでたっても検査ができないという状況になりますので、その2種類に分けることによって、通常の患者様が落ち着いて予定通り、検査ができるというメリットと救急の患者様が待たずに検査を入れるということになります。それが1点です。現状のCTが救急ではなく、通常診療用として、16列を1台使用しておりますが、これがだいたい使っているのが、お昼休みという時間もなく通常の時間帯に検査が終わらないというような状況が続いております。それにも増して、予約待ちというのが少なからずありますので、今日来た患者様が今日撮らなければいけない患者様であれば無理してでも撮りますが、1週間くらい待てる患者様が1週間後に撮りたいといってもなかなか撮れないと か。ですが診療用として2台体制を組めることによって、検査の待ち時間ということが、ほとんど無くすことができますので、従来通り、緊急の患者様は当日にできますし、緊急じゃない患者様でも比較的早い時間でやって、状態の変化がなく診断ができるようになるかと思います。


Q記者:320列は救急用につくということか?
A市民病院担当者:救急用で全身外傷など必要な症例はこちらで検査をやるという形です。それ以外、例えば頭のCTとかですと、320列と16列で診断、脳は変らないんですね。ですので、無理に320列の方に運んできて時間をかけて検査をするよりも、素早く撮るということです。ところが全身外傷などで、精密な検査を行いたいということであれば、320列のメリットが一番生きる領域で、それで、そういう症例が当然必要な症例ですので、320列でやるような形で考えております。


Q記者:どれが救急用ということはないか?
A市民病院担当者:救急用としては救急棟の中に今のもの(16列)を設置しますが、広く救急用という意味であればどの時間帯であっても例えば深夜、夜中であっても、320列で撮る症例に関しては320列が運用できるように、現状トレーニングを進めております。


Q記者:既存のCTは主に救急用に特化させるという理解か?
A市民病院担当者:救急専用ですね。新たに設置するものは、救急兼用として。
A事業管理者:今後、心筋梗塞の検査なども増えてくると思うんですけれども、カテーテル検査を行うこともなく320列の診断力が相当向上してますので、応用範囲が広がっていくものと思います。救急は結構、心筋梗塞が多いですよね、そういうときに320列を使って相当早い診断ができると確信しております。


Q記者:320列の設置や心臓血管センターはなぜこのタイミングで設置するのか?
A事業管理者:今後、心臓病、血管の診断というのは増えてくると予想してございます。それと御存じのように、今、動脈瘤、大動脈瘤の治療でステントの技術を使って行うこともできるようになってきました。そうなってきますと、心臓血管外科が関わったり、いわゆる血管外科が関わったり、心筋梗塞のいわゆる冠動脈の疾患の治療におきましても、心臓血管外科が行うバイパス手術をする技術と循環器内科が行いますカテーテルによる治療というものがございます。そのときに、バラバラな科でやるよりも心臓血管外科、いわゆる血管外科、循環器内科、放射線科ですね、そいうものが1つのチームを作って、そのような疾患に対応していった方が患者さんにも分かりやすいし、1つのしっかりとしたコンセプトのもとに診断治療が行われていくということで、(仮称)心臓血管センターを設置すると決めました。そして、その時に診断器具として、どのようなものが一番必要であるかと思ったときに、侵襲度の低いもので新型の機器、320列のCTを入れていこうと決心した次第でございます。当初320列というのは相当(金額が)高いですので、なかなか決心つかなかったですけれども、やはり努力の結果、私たちが購入できるような価格になりましたので、購入していこうと決めた次第です。今、私たちの考えといたしましては、この平塚市民病院を心臓病、血管、のこの地域の中核的な病院にしていきたいと考えて、センター化構想をやったとお考えください。
 

Q記者:新しいCTを使うと患者さんが多くお代を支払うことになるのか?
A市民病院担当者:検査自体で約500円高くなる計算となります。また心臓のCT加算というものがありまして、これが6,000円の加算が取れることになっております。これは検査が終わったあとに画像処理にかかるための人件費や検査に必要な部材などに通常当てられていますので、ただ単に検査が高くなるというよりは、多くのことができるようになったためにこういう加算が認められているという意味合いだと思います。この心臓CT加算と画像診断管理加算2がとれる施設となりますので、当院はそれを取ることができます。


Q記者:画像の処理加算はこれまでも同じようなものがあったのか?
A市民病院担当者:これは64列以上の場合のみです。


Q記者:(仮称)心臓血管センターは関係診療科がいくつあって、どういう人員体制をとるのか?
A事業管理者:(仮称)心臓血管センターの対処する部署は心臓血管外科、血管外科、循環器内科、放射線科、その4科が一つのチームをつくるという形となっています。


Q記者:このセンターを設置するに当たり部屋を作ったり、工事を含めた設備投資全体の金額は?
A事業管理者:新しく建物とかを作るということではございませんで、今例えば、血管外科は一般外科のなかで外来を行っていました。それを今後は、心臓血管外科、それと循環器内科、血管外科が同じ外来スペースで、診療を行っていくことによって、患者さんに分かりやすい機能を提供しようというところから始まっています。ですから、心臓がおかしいとか、動脈瘤かしらとか、それから足の血管がおかしいのではないかという患者さんはそこに行くことによって、診療を行うことができる。そのドクター同士が常に接触しておりますので、この患者さんは心臓血管外科で見るのがいいのか、または血管外科で治療していくのがいいのか、心筋梗塞の患者さんでも、循環器内科でカテーテル検査をした方がいいのか、心臓血管外科でバイパス手術をした方がいいのかということをチームの中で話し合って治療方針を決めていこうと、そのような形のセンターかなと思っています。


Q記者:窓口を太くしてそこへ行ってからどこで治療すべきかを決定するということか?
A事業管理者:そういうことです。


Q記者:チームには何人くらい参加するのか?
A事業管理者:心臓血管外科が常勤医3名、循環器内科が常勤医5名、血管外科が常勤医1名、、放射線科が常勤医3名です。


Q記者:工事を含めた設備投資全体の金額は?
A経営企画課長:先ほど申しましたものが設置費込みの形となっております。


Q記者:心臓血管外科ですか?心臓外科ですか?
A事業管理者:心臓血管外科です。((仮称)心臓血管センターは)センター長を決めますので、強いリーダーシップのもとに治療方針その他を決めていこうとそのためのセンター化と思ってください。


Q記者:地域の中核的な病院にしたいということだが、地域医療病院の承認と何か連携したり、役割はあるのか?
A事業管理者:地域医療病院との関係というよりも、やはり私たちの病院の使命は急性期医療をしっかりやっていくということが使命ですし、今度新しく新棟ができた時点においては、救命救急センターを目指しております。そのような意味におきまして、今後循環器疾患が増えていくと私は考えておりますので、その増えていく循環器疾患に対応できる体制を今から整備していきたいということがセンター化です。この地域のそのような循環器的な疾患の中核的な病院にしていきたいと、人員を整備していきながら行っていきたいと考えています。そして、地域医療支援病院の役目といたしましては、そういった地域に開かれた病院でありますとともに、地域の開業医の先生方に機器の共同利用、その他を提供しなければならないという使命となっておりますので、今度のこの新しい320列のCTは相当そのような意味において、共同利用していただける機会があるのではないかと思ってます。やはり、開業医さんのところに来て、心臓がちょっと痛いとかおかしいとかで開業医の先生から320列のCTで検査していただきたいと要望があればすべて行っていきたいと。そのような対応もできてくると思いますので、地域医療支援病院としての機能がさらに充実していくというふうにわたくし自身が感じております。


Q記者:地域医療支援病院になったということで地域医療機関との機器の共同利用をということか?
A事業管理者:今も行っていますけれども、さらに推し進めていきたいと思っております。その体制づくりも急がなければならないと思っております。


Q記者:市民病院は脳卒中やtPAよりも循環器の方に力を入れるということか?
A事業管理者:両方、力を入れます。脳卒中センターもすでにありますので、ただ、脳卒中の治療では脳神経内科医が2人と少ないですので、脳神経内科医を充実させることによって、tPAの治療をしっかりやっていきたいと思っております。あと脳外科におきましても血管内手術が相当盛んになってきましたので、今1人のドクターが血管内手術の専門医をとるべく修練を続けているという状況です。脳卒中センターとしても発展させていきたいし、循環器の方も循環器を充実する(仮称)心臓血管センターとしてもさらに発展させていきたい思っております。
 

※定例市長記者会見における質疑内容を広報・情報政策課広報担当でとりまとめて掲載しています。

記者発表資料


平塚市
担当 経営企画課経営企画担当 大場
電話 0463-32-0015
 

市民病院に高機能320列CTを導入

 
 市民病院は、救命救急医療に対応できる検査、幅広い領域での診療機能の向上などを目的に、県内の公立病院で初めて高機能320列CTを10月末から導入します。
 CTは、エックス線を利用して、体の断面図を画像化する診断装置です。
 このたび導入する高機能CTは、0.5ミリ幅のエックス線の検出器が320列あり、従来機の20倍であることから、160ミリの広い幅の断面を一度に撮影できます。
 このため、脳や心臓の全体を継ぎ目なく捉えることができるようになります。
 また、1回転0.35秒の高速で検査が可能となり、救急外来で全身に外傷を受けた方、脳や心臓の血管に疾患のある方及び呼吸や体の動きを止めにくい小児にも、迅速に検査ができるようになります。
 

検査、診療機能の向上

  • 迅速な全身外傷検査
  • 心筋梗塞の診断などで血流や心臓などの動く状態を高度画像解析
  • 撮影時の造影剤の少量化
  • 画像解析能力及び処理能力の向上により3次元(3D)高度画像解析

検査、診療へのメリット

  • 1分1秒を争う救命救急医療での迅速な全身外傷検査
  • エックス線の被ばく量が低減 
  • 高精度の心臓CT検査が日帰りで可能
  • 心臓や頭部など幅広い領域での診断性能の向上
  • 院内画像解析システムにより3次元画像をすべての外来、病棟で可視化

 

高機能320列CTの活用

 今後は、来年1月から心臓や血管に疾患のある方の診断や治療がスムーズに行えるように、関係診療科を1つのチームとしてまとめ、(仮称)心臓血管センターを設置する予定です。また、地域の医療機関との充実した連携を深め、委託検査によりこのCTを有効に活用していきます。
 当院は、県知事から本年9月19日に「地域医療支援病院」の承認を受けました。これからも急性期病院・地域医療支援病院として、高度かつ安全な医療を提供していきます。