院展の代表的な作家のひとり荘司福と、福の長男の妻で、創画会で頭角を現しながらも早世した荘司貴和子の作品、併せて約50点を紹介します。
荘司福は2009年に神奈川県立近代美術館で大規模な回顧展を実施して以来10年振り、荘司貴和子は関東では初めての公開です。

概要

荘司福《刻》1985年 神奈川県立近代美術館蔵

荘司福・荘司貴和子展-院展の巨星・創画の新星
2019年4月20日(土曜日)~6月9日(日曜日)

  • 開館時間 9時30分~17時(入場は16時30分まで)
  • 休館日 月曜日(ただし4月29日(月曜日)、5月6日(月曜日)は開館)、4月30日(火曜日)、5月7日(火曜日)
  • 観覧料金 一般800(640) 円/高大生500(400) 円
※( ) 内は20名以上の団体料金
※中学生以下、毎週土曜日の高校生は無料
※各種障がい者手帳をお持ちの方と付添1名は無料
※65歳以上の平塚市民の方は無料、市外在住の方は団体料金
 (年齢・住所を確認できるものをご提示ください)
※本展覧会の観覧券で同時開催の「空間に線を引く-彫刻とデッサン展」も観覧できます。
  • 主催 平塚市美術館
  • 特別協力 神奈川県立近代美術館、東御市梅野記念絵画館
  • 協賛 神奈川中央交通株式会社
開催日数 44日
観覧者数 5,464人

担当       家田奈穂(当館学芸員)

詳細

荘司貴和子《玄海の月》1976年 東御市梅野記念絵画館蔵
 このたび平塚市美術館では、「荘司福・荘司貴和子展」を開催いたします。
 荘司福(1910-2002、松本市生)は、女子美術専門学校師範科日本画部(現女子美術大学)卒業後、結婚して仙台に移り住みます。夫と死別後の1941年河北新報社が主催する東北美術展(現河北美術展)に初入選し画家として出発しました。1946年院展に初入選、郷倉千靱の画塾・草樹社の塾員となり研鑽を積むと、次第に院展で頭角を現し、1964年同人に推挙されます。1967年以降千葉、東京を経て1975年に横浜に居を構え、画業の後半生を展開していきます。作品は、初期の構成的な群像表現から、朽ちてゆく物象のモチーフを経て、1960~70年代には中国やインド、カンボジア、エジプトやケニアなどに取材旅行し、仏教遺跡やオリエントの神々の造形に着想を得て壮大なイメージを展開。さらに自然物
や自然景を対象とした根源的な世界観の表現へと移行しました。
 荘司貴和子(1939-1979、神戸市生)は、東京藝術大学日本画科を卒業後、高校で教えながら制作活動に取り組みました。1964年から新制作協会日本画部に出品を重ね、1973、74年には春季展賞を受賞して画家として頭角を現します。1974年に新制作協会を離脱した日本画部会員により創画会が結成されると、1978年まで創画展に出品。1975~78年にかけて連続して春季展賞を受賞し、その後の活躍が期待されましたが、1979年腸癌のために39歳という若さで惜しまれながら死去します。旅先でみた自然や建物をモチーフにしたその抽象的な作品は、簡潔な構成の中に、どこか懐かしさを感じさせる情感と気品を漂わせ、見るものの心に迫ります。
 1971年以降、義理の親子として一緒に取材旅行に出かけ、それぞれの違いを認めながら制作に励んだ二人は、互いの才能に尊敬の念をもって相対しました。本展では、92歳で没するまで人間や自然と真摯に向き合った荘司福と、若くして没したがゆえに広く知られることがなかった荘司貴和子の作品、併せて約50点を紹介します。

関連事業

荘司福《到春賦》1987年 神奈川県立近代美術館蔵

学芸員によるギャラリートーク

日時 4月27日(土曜日)、5月18日(土曜日) 各回14時~14時40分
場所 展示室2
※申込不要、要観覧券
参加者数 6名、30名
 

講演会「福と貴和子-絵描きと絵描き」

講師 荘司準氏(荘司福 御子息)
日時 6月1日(土曜日) 14時~15時
場所 ミュージアムホール
※申込不要、無料、先着150 名
参加者数 100名