市長あいさつ

令和元年度

所信表明(令和元年第2回市議会定例会)

令和元年6月4日
 
 令和元年6月定例会の開会に際し、選挙後初めての定例会でありますので、3期目の市政運営について所信を申し述べるとともに、令和元年度一般会計の補正予算案及びその他の案件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。

 5月1日、令和時代が幕を開けました。市長として、また、一人の国民として、新たな時代の到来に胸の高鳴りを覚えております。
 先般の選挙では、市民の皆様の御信託をいただき、私は再び4年間の市政運営に当たらせていただくこととなりました。光栄なことに、3期目の任期を令和時代最初の市長として務めることになります。先人の英知と努力により築き上げられてきたこの歴史ある平塚を、「平成」から「令和」へ引き継げることを誇らしく思うとともに、市民の皆様の生活を守っていく責務の重さに、改めて身の引き締まる思いであります。
 歴史の節目を迎えた今、過去と未来をつなぎ、人と人とをつなぐ、このことがこれまで以上に大事な時代になってくるのではないでしょうか。先人が積み上げ、子や孫へと引き継ぐ世代間のつながりを「縦の絆」とするならば、「横の絆」は、格差社会や分断社会といわれる現代を生きる私たちが、多様な価値観や様々な立場・考えを尊重し、互いに力を合わせて築く、人と人とのつながりと考えます。3期目の冒頭に当たり、改めてこのような縦と横の「絆」の大切さに思いを致し、市長として、市民の「絆」を更に強め、更に深めていく決意で市政運営に臨んでまいります。

 3期目の市政運営において、私に課せられた課題は多岐にわたりますが、最も重要なことは、1期、2期を通して育んできた転入・転出状況の変化など平塚の明るい流れを加速させることです。そのためには、重点課題に位置付けている「地域経済の活性化」「子育て支援」「超高齢社会への対応」「安心・安全なまちづくり」に係る各施策において、少子・高齢化や人口減少社会など時代の流れや、日本各地で多発する風水害など自然環境の変化、多様に変容する市民ニーズの動向などをしっかり見据え、令和時代の新たなまちづくりに向けて、これまでの施策を点検し、更に進化させていくことが必要です。
 その原動力は、変えてはいけないものを変えない信念、変えなくてはいけないものを変える勇気です。この信念と勇気をもって、「さらに、選ばれるまち、住み続けるまち」づくりを進め、持続可能でにぎわいのある「たしかな平塚」を子や孫につないでいく所存です。

 それでは、私が今後4年間の市政運営において目指す、4つのまちづくりに沿って主要な取組をお示しさせていただきます。
 まずは、お互いを理解・尊重できる心のやさしさ、学びの意欲や豊かな感性をもった人が育ち、活発な交流を通して人の輪をつなげ、広げていける「豊かな心と文化をはぐくむまち」を目指し、教育や文化・スポーツ、人権・市民総活躍などの取組を進めます。
 教育分野では、中学校での完全給食を共同調理場方式により全校において実施することとし、4年以内に調理場の整備に着手します。小・中学校普通教室における空調機の設置は、平成30年度に全小学校で完了しておりますので、今年の夏前までに中学校での設置完了を目指します。また、国際共通語である英語力の向上に向け、外国人英語指導者(AET)による学校訪問の拡充や、学習意欲の向上と家庭学習の習慣化のため、放課後自主学習教室の実施校を増やします。
 文化・スポーツ分野では、生涯学習や芸術・文化活動の充実に向け、本市の新たな文化・芸術の拠点となる「平塚文化芸術ホール」について、令和4年春のオープンを目指し着実な取組を進めるとともに、開設30周年を迎え、高い評価を受けている美術館のより一層の発展を目指し、改修に取り組みます。また、地域の歴史や文化を尊重し、活用することにより、地域のにぎわい創出につなげます。さらに、本市の宝である湘南ベルマーレのサッカー専用スタジアムについては、ベルマーレが主体となった市内への整備を促進し、必要に応じて様々な規制への対応や周辺整備など、本市としてできる限りの支援に努めます。
 人権・市民総活躍分野では、女性や高齢者、障がい者、外国人、LGBTなどの多様性を尊重するとともに、誰もが能力を発揮できる地域づくりを進めます。また、ワーク・ライフ・バランスの推進のため、市が率先してイクボスの推進などにより働き方改革を先導し、市内企業にもその取組を広げます。

 2点目は、「安心して暮らせる支え合いのまち」を目指し、市民の誰もが生きがいをもって幸せに暮らし、安全に安心して住み続けられるよう、子育て支援や福祉、安心・安全の取組を進めます。
 子育て支援では、保育や子育て環境の充実に向け、中学校卒業までを対象としていた小児医療費助成において、湘南地域で初めてとなる所得制限の撤廃を行うとともに、「産前・産後ヘルパー」派遣制度を新たに設け、近くに両親など頼れる人がいない家庭の出産前後の生活を支えます。待機児童対策については、これまで民間保育所の施設整備や保育士確保の取組を支援するなど、保育の質の確保に重きを置きながら量の拡大を図り、解消に努めてまいりました。今後は、この取組を更に進め、令和2年4月時点での待機児童ゼロにつなげてまいります。
 福祉の分野では、市民一人一人が、住み慣れた地域でその人らしく輝く地域共生力の高いまちづくりを進めます。そのモデルとして、平塚高村団地及びその周辺地域において、市民主体で新たな地域拠点や良好なコミュニティの形成などに取り組みます。また、人生100年時代の到来を見据え、全ての人が元気で活躍し続けられる社会を目指し、心身の健康増進や介護予防、認知症対策などの取組を加速させることで、40代からの健康長寿事業を強化します。あわせて、高齢者の就業機会の創出に取り組むとともに、余暇活動や地域貢献活動を支援します。
 安心・安全においては、想定外を作らない災害に強いまちづくりの推進に向け、ビーチパークとこれから龍城ケ丘に整備する公園において、津波避難施設を整備し、県内で最も安全な浜辺を目指します。また、市民の命を守るため、市の責務として市民病院の救命救急や小児周産期部門を堅持します。

 3点目は、自然環境の保全や循環型社会の構築により、環境に配慮した快適な都市空間が整備された「自然と人が共生するまち」を目指し、環境対策や交通の利便性向上、公園整備の取組を進めます。
 環境の分野では、可燃ごみ戸別収集システムの社会実験をモデル地区で実施し、ごみ分別・減量化の推進、更にごみ出し困難者の利便性向上などの効果を検証し、実施地区の段階的な拡大を目指します。また、ツインシティ大神地区におけるエネルギーの地産地消や、市民生活と密接に関わるプラごみゼロ、市民活動団体と協働した生物多様性の保全などに取り組みます。
 交通対策では、少子高齢化やまちづくりの進展に合わせ、市民一人一人がより使いやすい交通網の再構築を急務として、交通空白地域や交通不便地域対策に取り組むとともに、ツインシティ大神地区と平塚駅を結ぶ連節バスの導入などを図ります。また、平塚駅北口に市民の皆様から要望の多い下りエスカレーターを設置し、バリアフリー化と利便性向上を図ります。
 公園整備では、民間活力の活用を掲げてこれまで進めてきた龍城ケ丘プール跡地とその東西のエリアについて、平塚砂丘の自然と一体感のある公園として整備します。あわせて、神奈川県との連携による平塚海岸の養浜、龍城ケ丘とビーチパークを結ぶ散歩道の整備や、シェアサイクルの導入などにより回遊性を確保し、市民の皆様に愛され、誇りとなる海岸といたします。

 4点目は、各産業のバランスが取れ、新たな産業の創出や多様な担い手が活躍し、魅力的な観光資源のある「活力とにぎわいのあるまち」を目指し、産業振興や観光、雇用、中心市街地の活性化の取組を進めます。
 産業振興においては、各産業の振興や多様な担い手の確保に向け、頑張る事業者に対し創業支援や経営相談体制、事業承継支援の充実を図るとともに、地域資源や得意分野、技術をいかした新商品の開発や新事業の創出などへの取組を支援する「産業間連携ネットワーク」を推進します。また、市内金融機関などと連携したセミナーの開催やマッチング機会の創出などに取り組みます。さらに、新たな産業を創出するため、平塚新港における波力発電の実証事業から実用化への取組を支援するほか、農業・漁業の6次産業化の取組が更に広がるよう支援します。
 観光の分野では、観光資源の魅力向上に向け、来年の「第70回湘南ひらつか七夕まつり」を市民との協働で盛大に行うほか、体験型観光プログラムの開発や、湘南平が観光の拠点となるよう再整備に取り組みます。
 雇用対策では、雇用確保や労働環境向上に取り組むとともに、テレワークを視野に入れながら保育付き共用オフィスの導入を検討するなど、子育てと仕事の両立を目指します。
 中心市街地の活性化では、各商店が連携して個店の魅力を紹介する「まちゼミ」への支援や、にぎわいの創出に向けた商業者や自治会などとの意見交換を更に進め、活性化に向けた事業を展開します。また、平塚文化芸術ホールを核とした、平塚駅西口からの動線や中心市街地と一体となった見附台周辺地区の整備を進め、産業や文化、交通などの政策を組み合わせるポリシーミックスで総合的な対策を展開します。

 以上、主要な取組をお示しさせていただきましたが、今年度は平成28年度からスタートした、市政運営の基本となる方向性を示した最上位の計画である「平塚市総合計画~ひらつかNEXT~」の計画期間の中間年に当たり、基本計画の改訂に取り組むことといたします。
 今回の改訂では、これまで述べた様々な施策やSDGsの視点を取り込むとともに、国の動向や社会経済情勢の変化を踏まえ、新たな課題や市民ニーズに対応し、この度の市長選挙で新たにお示しした約束の実現に向け、3期目の具体的な設計図を市民の皆様にお示ししてまいります。

 また、取組を進めていく上で、併せて取り組むべき4点の課題についても、ブラッシュアップを図ってまいります。
 1点目は、市民との協働です。平塚市自治基本条例の理念である市民主体のまちづくりを一層進めるため、協働のまちづくり基金等を活用して地域活動や市民活動を支えます。また、PPPやPFIといった手法を活用する事業の実施に当たっては、多様な市民参加の機会を確保し、意見を事業に反映できるような仕組みを導入してまいります。

 2点目は、行財政改革の推進です。本市の財政状況は県内トップクラスにあるものの、依然として厳しい状況にあります。健全な財政運営を堅持するため、事務事業の見直しはもちろんのこと、平塚市公共施設等総合管理計画の着実な推進による施設の縮減のほか、窓口業務の民間委託、庁内業務へのAI(人工知能)やRPA(ロボットによる事務作業などの自動化)の導入などの業務改善に取り組み、市民サービスの向上につなげてまいります。また、今年度で「平塚市行財政改革計画(2016-2019)」の計画期間が満了することから、総合計画の改訂内容や社会経済情勢、外部の視点からの意見等を踏まえ、新たな行財政改革計画を策定してまいります。

 3点目は、組織改革です。平成25年度に大規模な組織改正を行いましたが、これまでの間に社会経済環境が目まぐるしく変化し、また、災害の激甚化など、かつて経験したことのない事象が発生しております。こうした状況に的確に対応するため、市長のリーダーシップを更に発揮できる戦略的な組織作りを推進してまいります。

 4点目は、シティプロモーションです。これまで「手をつなぎたくなる街 湘南ひらつか」のスローガンの下、市内外に平塚の魅力を発信するシティプロモーションを行ってまいりました。成果の一つに子育て世帯の転入増が挙げられますが、引き続き若い世代や子育て世代をターゲットとして、本市のイメージ向上や魅力発信に取り組むとともに、そのニーズを、総合計画を始めとした様々な施策に反映させ、「多くの人から選ばれるまち・住み続けたいと思われるまち」を目指したシティプロモーションに、更に力を入れてまいります。

 最後に、令和時代の幕開けに際し、中長期的な課題について言及させていただきます。5年後、10年後に実を結ぶものも多くあると思いますが、平塚市の将来を見据え、今からしっかりと取組を進めてまいります。
 まず、オリンピック・パラリンピックを契機とした取組です。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるリトアニア共和国ナショナルチームの事前キャンプは、本市におけるスポーツ振興に加え、子どもたちが世界へと視野を広げる絶好のチャンスであることから、今後の国際交流を始めとした教育、スポーツ、多文化共生、福祉のまちづくりに、しっかりとレガシーが残る取組を進めてまいります。

 次に、まちの再生や災害対策に関する各種課題への対応です。
 文化公園にあります中央図書館や博物館などは改修を重ねながら運営していますが、老朽化が進んでいるため、これらの施設の将来構想を検討してまいります。
 平塚駅西口は、かねてより再整備が議論されてまいりましたが、平塚文化芸術ホールを核とした見附台周辺地区や中心市街地のにぎわい創出とのつながりが大きいことを踏まえ、再整備の考え方の検討を加速してまいります。
 「ひらつか海岸エリア 魅力アップチャレンジ」では、ビーチパークや龍城ケ丘の取組を進め、ゾーンの一つである「漁港周辺」に位置する新港周辺については、まずはトイレ整備などできることから着手するとともに、大浜地区を中心とした海と漁業をテーマとするまちづくりの総合的な検討に取り組みます。
 本市は河川の下流に位置することから、近年、ゲリラ豪雨と称される大雨でも浸水しないまちづくりが将来の大きな課題となります。これを見据え、想定外の災害を出さない下水道のあり方について検討してまいります。

 次に、西部地域の資源の活用についてです。
 現在、神奈川大学湘南ひらつかキャンパスの学部移転が注目されております。本市としては、大学側に対し、平塚に神奈川大学を残して欲しいという強い思いで働きかけを続けてまいります。
 東海大学については、東海大学前駅と平塚駅を結ぶバス路線の新設による交通利便性を確保した上で、まちのにぎわいと魅力づくりにつながる強固な関係の構築を検討してまいります。
 吉沢ゆるぎ地区においては、農業と里山という資源を活用し、地域や大学、企業と連携してクラインガルテン(滞在型市民農園)による週末就農ができる場の創出を目指し、調査・検討を進めてまいります。

 以上、今後4年間の市政運営に当たり、私の抱負を述べさせていただきました。
 平成27年以降、本市では人口の社会増が続き、多くの方に住みやすいまちと思っていただけているものと自負しております。この平塚市が「さらに、選ばれるまち」となり「全国に誇れるまち」となりますよう、引き続き全体最適という考えの下、職員とともに英知を結集し、身を粉にして市政運営に取り組む覚悟であります。あわせて、様々な形で市民との対話を進め、政策形成の過程そのものを市民の皆様に明らかにするなど、市政への理解や問題意識の共有に、より一層努めてまいります。
 平和で希望に満ちあふれる令和時代に思いを馳せ、今後とも議員の皆様、市民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願いを申し上げまして、私の所信とさせていただきます。
 

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