市長あいさつ

　新採用職員の皆さん、入庁おめでとうございます。 平塚市の将来を担う皆さんが私たちの仲間として加わったことを心から歓迎します。
　しかし本日は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、入庁した全ての皆さんが一堂に会して、平塚市職員としてのスタートをお祝いできず、大変残念に思っています。

　この一年、新型コロナウイルスが猛威を振るい、世界中がさまざまな危機的状況に陥りました。皆さんの中には、自粛が続いて不便を強いられ、消化不良となった学生生活に未練を残している人もいるかもしれません。
　しかし社会には、コロナ禍で仕事を失ったり、経済的な苦境に立たされたりと、予想外の運命を背負うことになった人も大勢います。一方、私たち職員の仲間を含む、医療や介護、救急などに携わる人々は、市民の命を守るために自らの危険を顧みず、日々奮闘しています。
　皆さんは今日から、平塚市民の暮らしを守り、まちをつくり、まちの動きを支える、平塚市職員になりました。これまでとは立場を変えて社会全体を見渡し、この危機を乗り越えるために、自分なら何ができるか、どうしたら苦しんでいる人を支えていけるか、真剣に考えてください。

　昨年度、新型コロナウイルスの感染状況を受け、平塚市は、市民の生命と健康を守ることを最優先とし、市民生活と社会経済活動への影響を最小限に抑えることを第一に、多岐にわたる取り組みを進めました。
　いまだ感染症収束の兆しが見えないことから、今年度も新型コロナウイルスと立ち向かい、市民の「いのち」と「くらし」、そして平塚の「まち」を守るため、「コロナに打ち勝つまちづくり」に力を注ぎます。

　また、「コロナ禍が時代の大きな転機になる」ことから、ポストコロナに対応する「新たな日常」の構築を見据え、ICTの活用・DX（デジタルトランスフォーメーション）の推進など未来志向の取り組みも積極的に取り入れます。これによって、平塚市の持続性を高め、将来にわたって「さらに、選ばれるまち、住み続けるまち」にしていきます。
　このように、私たちの仕事は現代を取り巻く環境や流れと共に動いています。変わらないもの、変えてはいけないものも当然ありますが、世の中の動きに目を光らせ、新たな歴史をつくるためには勇気をもって変わることも大切です。そこで今、時代の大きな転換点にあたり、皆さんに多くの重要な場面でも、正しい判断基準と問題意識を持って仕事を進めてもらえるよう、3点の心構えをお伝えします。

　1点目は「市民目線を大切にすること」。市民の思いを丁寧に汲み取り、市民から頼られる対応に努めてください。公務員としての立場と役割、責任感を持って「市民が求めていることを果たせているか」、また「期待に応える働きができているのか」、自分自身に問いかけてください。
　2点目は「コミュニケーション能力を高めること」。相手にこちらのことを理解してもらうには、受け手の立場や状況を考え、どうすれば相手にその情報が伝わるか配慮しながら、言葉を選ぶことが大切です。まずは身近な人との挨拶はもちろんのこと、コミュニケーションを重ね、良い情報であれ、悪い情報であれ、きちんと伝えられる信頼関係を築いてください。
　3点目は「やる気と行動力を持つこと」。まずは、自分に与えられた足元の仕事をしっかりと最後までやりぬくことが重要です。仕事では、難局に直面したり、新たな試みを求められたりしますが、最初から「できない」「やらない」ための言い訳を探すのではなく、「どうしたらできるのか」「変えられるのか」を意識し、目標に向かって行動してください。

　さて、今年は東日本大震災の発生から10年を迎えました。現在も本市から被災地・宮城県石巻市に職員を派遣し、復興事業に携わりながら、防災・減災の大切さなどを肌で感じてもらっています。公務員は市民の生命に関わる災害や事故が発生すると、通常業務を超えて最前線で対応しなければなりません。皆さんも平時から市民の安心・安全を守る、強い覚悟を持っていてください。

　結びに、平塚市がさらに魅力あるまちへと成長・発展する原点は「人」にあり、それが全ての原動力となります。皆さんが平塚市の未来を切り拓(ひら)く、頼もしい原動力となるよう期待するとともに、平塚市職員として選ばれた誇りと初心を忘れず、活躍されることを願い、私からの訓示といたします。