構之内遺跡 第9地点
調査概要
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構之内遺跡第9地点 調査位置
所在地 平塚市四之宮一丁目173番
調査主体 株式会社 玉川文化財研究所
調査面積 約926m2
調査期間 令和4年6月27日~同年10月31日
発見遺構 溝状遺構、土坑(奈良・平安時代)
溝状遺構(中・近世)
土坑(近代)
発見遺物 土器、石器(縄文時代)
土師器(古墳時代)
土師器、須恵器、灰釉陶器、瓦、
石製品、獣骨(奈良・平安時代)
陶器、磁器、土器、瓦、石製品
(中・近世)
焼夷弾(近代)
調査主体 株式会社 玉川文化財研究所
調査面積 約926m2
調査期間 令和4年6月27日~同年10月31日
発見遺構 溝状遺構、土坑(奈良・平安時代)
溝状遺構(中・近世)
土坑(近代)
発見遺物 土器、石器(縄文時代)
土師器(古墳時代)
土師器、須恵器、灰釉陶器、瓦、
石製品、獣骨(奈良・平安時代)
陶器、磁器、土器、瓦、石製品
(中・近世)
焼夷弾(近代)
調査成果
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調査区全景 (南西から)
発見された遺構の内訳は、奈良・平安時代の溝状遺構67条、土坑1基、中・近世の溝状遺構13条、近代の土坑1基です。出土遺物の総量は整理箱で約5箱分を数えます。時期的には縄文時代、古墳時代、奈良・平安時代、中世、近世、近代にわたりますが、主体をなすものは奈良・平安時代に属する土器類です。以下、時代ごとに調査成果を紹介します。
縄文時代
土器1点と石器2点(石鏃1、打製石斧1)が出土しましたが、遺構は発見されませんでした。土器は中期、石鏃は晩期に属する可能性があります。
古墳時代
前期に属する土師器壺1点と後期に属する土師器甕2点が出土しましたが、遺構は発見されませんでした。
奈良・平安時代
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奈良・平安時代の溝状遺構群(北東から)
本時期の遺構は溝状遺構を主体とし、これらは調査区全域に展開しています。出土遺物は土師器、須恵器、灰釉陶器、瓦、獣骨などがあり、特に8世紀後半~9世紀代に属する土師器坏類が多くみられます。
当該期の溝状遺構を平面的にみると、直線的な溝が52条(南北26、東西26)、屈曲する溝が8条(「L」字状6、「コ」の字状1、「く」の字状1)、弧状ないしは蛇行する溝が7条となります。また溝の方位については、南北方向はN-8~23°-W、東西方向はN-70~90°-Eを示すものが大半を占めます。このうち「コ」の字状を呈するH30号溝などは、区画単位を推定する手掛かりとなる可能性もあります。自然遺物は、H3号溝よりウシの臼歯片2点が出土しました。
当該期の溝状遺構を平面的にみると、直線的な溝が52条(南北26、東西26)、屈曲する溝が8条(「L」字状6、「コ」の字状1、「く」の字状1)、弧状ないしは蛇行する溝が7条となります。また溝の方位については、南北方向はN-8~23°-W、東西方向はN-70~90°-Eを示すものが大半を占めます。このうち「コ」の字状を呈するH30号溝などは、区画単位を推定する手掛かりとなる可能性もあります。自然遺物は、H3号溝よりウシの臼歯片2点が出土しました。
中・近世
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中・近世の溝状遺構群(南西から)
本時期の遺構は直線的な溝状遺構を主体とします。これらはN-10~15°-W前後を指示する南北方向溝群と、N-75~80°-E前後を指示する東西方向溝群に大きく二分されます。このうち比較的規模の大きいK4号溝とK5号溝では「T」字状の配置関係が看取され、区画を意図した遺構と推定されます。またK4・5号溝の上部で発見されたK1~3号溝では宝永火山灰の純層堆積が確認されました。
近代
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焼夷弾破片が出土したKD1号土坑(南東から)
近代の調査では、1945(昭和20)年7月16日~7月17日に発生した平塚空襲との関連が想定される遺構と遺物が発見されました。KD1号土坑では多数の焼夷弾破片が出土し、これらは油脂焼夷爆弾(ナパーム弾)に分類されるM47A2型100ポンド焼夷弾に同定されました。また、遺構外からは7点のM50型テルミットマグネシウム焼夷弾が出土し、5点はM50A2型(通常焼夷弾)、2点はM50X-A3型(時限式焼夷弾)に同定されました。出土焼夷弾の内容を整理すると、総点数は8点(M47A2型1点、M50A2型5点、M50X-A3型2点)で、調査範囲(926m2)における被弾密度は、単純計算で115.75m2(約10.8m四方)につき1発となります。
まとめ
近年の調査成果の蓄積により、構之内遺跡を包括する平塚市域の第3~第4砂丘列における奈良・平安時代遺跡の基本構造が徐々に明らかになりつつあります。各遺跡に共通する遺構の大まかな分布傾向は、砂丘上には竪穴住居・掘立柱建物などの居住域、緩斜面~低地域には溝状遺構群・土坑群などの生産域が展開している状況が看取されており、本遺跡の調査においても同様の傾向を追認することが出来ました。また、近代の調査で出土した複数種類の焼夷弾は、平塚空襲の被災状況を端的に示す資料と考えられます。
(文責 中村哲也)
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