市制90周年記念「リアル(写実)のゆくえ 現代の作家たち 生きること、写すこと」を開催

令和4年3月29日

平塚市
担当 美術館 学芸担当 安部
電話 0463-35-2111
 

「市制90周年記念 リアル(写実)のゆくえ 現代の作家たち 
生きること、写すこと」を開催

 
 平塚市美術館では、企画展「市制90周年記念 リアル(写実)のゆくえ 現代の作家たち 生きること、写すこと」を、4月9日~6月5日に開催します。
 幕末から明治初めに流行った生人形の迫真の技は、当時の日本人はもとより、来日した西洋人にも大きな衝撃を与えました。明治20年代に滞日した人類学者シュトラッツは「解剖学の知識もなしに強い迫真性をもって模写することができる」生人形師の力量に感嘆しました。また、彼は、生人形が理想化も図式化もされず、ありのままの姿であることにも着目しています。
 高村光雲も幼い時に松本喜三郎の生人形の見世物を見ています。後年、彼は西洋由来ではない写実を気付かせた存在として、松本喜三郎をはじめとする生人形師を敬慕しています。
 ここで重要なのは、写実表現はそもそもこの国にあったということです。遡れば江戸期の自在置物、さらには鎌倉時代の仏像に行きつきます。写実は洋の東西を問わず追求されてきたと見るべきでしょう。日本は近代化する過程において西洋由来の新たな写実表現を受容しました。これは既存の写実の方法や感性を新たに上書きする、もしくは書き替える作業であったことと思われます。
 今また写実ブームが到来しています。現代の作家が手がけた作品にも先祖返り的な要素が見受けられます。これは旧来の伝統的な写実が息づいている証です。連綿と続く写実の流れが、いわば間欠泉の様に、息吹となって彼らの作品を介して噴出しているのです。また、彼らの作品の中には近代的なものと土着的なものが拮抗し、新たな写実を模索している姿勢も見出せます。このような傾向は、高橋由一まで遡ることができます。
 本展は、松本喜三郎らの生人形、高橋由一の油彩画を導入部として、現代の絵画と彫刻における写実表現を検証するものです。
 

リアル(写実)のゆくえ展

会期

 令和4年4月9日(土曜日)~6月5日(日曜日) 50日間

開館時間

 午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)

休館日

 月曜日

主催

 平塚市美術館

協賛

 神奈川中央交通株式会社

会場

 平塚市美術館
 〒254-0073 神奈川県平塚市西八幡1-3-3
 電話 0463-35-2111 ファクス 0463-35-2741
 JR東京駅から東海道線、または新宿駅から湘南新宿ライン(直通)で約1時間。JR平塚駅より徒歩20分。または平塚駅東改札口(北口)より、神奈川中央交通バス4番乗り場乗車「美術館入口」または「コンフォール平塚前」下車。有料駐車場67台(1時間無料・要認証)。

観覧料 

 一般900円、高大生500円、小中学生無料
  • 毎週土曜日は高校生無料
  • 各種障がい者手帳の交付を受けた方と付き添い1人は無料
  • 65歳以上で、平塚市民の方は無料、市外在住の方は2割引き
  • 本展覧会の観覧券で「所蔵品展」もご覧いただけます
 

関連事業

学芸員によるギャラリートーク

日時 4月30日(土曜日)、5月28日(土曜日) 各日午後2時~2時40分
 ※申込不要、要観覧券
 
※新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のため延期または中止となることがあります
 

同時開催

 令和4年度特集展
 「けずる絵、ひっかく絵」
 令和4年4月9日(土曜日)~6月12日(日曜日)