平塚市美術館 館長 草薙奈津子

 平塚市美術館が開館したのは1991年です。つまり当館はバブル期に計画され、その崩壊寸前に完成したのです。ですから平塚市美術館は県立美術館並みの規模と充実度を誇っています。また館員にとってもとても使いやすい建物です。
 問題は中身です。
 近年、平塚市美術館では大中小3種の規模の展覧会を開催しています。大は比較的知名度があり入場者数の見込めるもの、中は知名度ではもう一つだが、専門家の間で評価の高い作家たち、そして小は館蔵品の展覧会です。勿論個々の作家ばかりでなく、テーマ展もこれに準じて行っています。さらにロビー展と称して、石やブロンズなど比較的温湿度の影響をうけない素材の彫刻展などを行っています。新人の展覧会が多いのですが、約4ヶ月にわたる長期展示となるため、作家には喜ばれています。ロビーで行う展覧会ですので、勿論無料です。しかし展示場内で行われる展覧会を見にいらした方も見て下さるので、かなりの方の目に留まる展覧会となっています。
 このような工夫の結果、県外からのお客様も多く、年間10万人近い方々にご来館頂いております。
 しかし展覧会だけをやっていれば良いという時代は過ぎました。今や展覧会と教育普及(ワークショップ)の割合は半々だと思っています。それだけ教育普及に期待して下さる方が多いということです。しかも教育普及に参加されるのは平塚市周辺の方が殆どです。市民の税金で成り立っている市立美術館としては大変嬉しいことなのです。
 今や対象は赤ちゃんから大人まで、美術館に来られる方でしたらどなたでも、勿論障がいのある方も受け入れています。
 こういう多彩な事業を展開するには館員だけではむずかしく、多くのボランティアに参加して頂いています。美術館は多くの方たちのご協力のもとに成り立っているのです。そのことに感謝しつつ、そして試行錯誤しながら、皆様に愛される美術館を目指しています。ご期待ください。

 
2017年12月