当館の所蔵品から、モノクロームの表現を追求した8人の作家の作品約30点を紹介します。単色でありながら美しい諧調と豊かな世界観を持つ表現の魅力をお楽しみください。

概要

  • 展覧会名 モノクロームの表現
  • 会期 2023年4月8日(土曜日)~5月28日(日曜日)
  • 開館時間 9時30分~17時(入場は16時30分まで)
  • 休館日 月曜日
  • 観覧料金 一般200(140)円/高大生100(70)円
※( )内は団体料金
※中学生以下、毎週土曜日の高校生は無料
※各種障がい者手帳をお持ちの方と付添1名は無料
※65歳以上で平塚市民の方は無料、市外在住の方は団体料金(年齢・住所を確認できるものをご提示ください)
  • 主催 平塚市美術館
  • 開催日数 44日

担当 家田奈穂(当館学芸員)

詳細

 美術作品におけるモノクロームは、単色で表現された絵画のことを指します。写真や映画、テレビにおいてカラーでないものをモノクロということから、一般になじみ深いのは白と黒の表現でしょう。本展では、白から黒への色彩の変化やグラデーションを駆使して内的な世界を具現化したり、モチーフの存在そのものに迫ろうとするなど、各自の表現を追究する8名の作家の約30点を紹介します。
 田澤茂(1925-2014)は油絵具を用い、現代社会の縮図として魑魅魍魎の世界を描き出しています。銅版画を得意とした渡辺千尋(1944-2009)は幻視した幻想的な世界を細かい線描で表し、伊藤彬(1940-)は木炭や墨により人間の本質にかかわる精神性や宗教観を山水草木に投影して描いています。木下晋(1947-)は鉛筆で、三浦明範(1953-)はシルバーポイントという古典技法によりそれぞれ人間や物質の存在を追究し、藤山貴司(1950-2008)は自身の考える世界創生の物語を木炭やコンテによって紡ぎ出しました。三瀬夏之介(1973-)は私的な感覚に基づく社会への問題提起ともいえる作品を墨によって描き、石井礼子(1974-2019)は日常生活の光景を墨線で描くことで自分自身と向き合いました。
 色彩の世界からモノクロームの世界へ移行した作家、ごく一時期だけモノクロームの表現を試みた作家など、取り組み方はそれぞれですが、自身の内面やモチーフそのものを凝視し、表現する上で、色彩を極限までしぼったモノクロームの表現は、作家に重要な気付きを与えたことでしょう。単色でありながら美しい諧調と豊かな世界観をもつ表現の魅力をお楽しみください。

関連事業

  • 担当学芸員によるギャラリートーク

日時:4月22日(土曜日)、5月20日(土曜日) 各14時~14時30分
場所:展示室1
※申込不要、要観覧券
※新型コロナウィルス感染症の感染予防、拡大防止のため延期または中止することがあります。
三浦明範《鮭》2001年、当館蔵
藤山貴司《文盲うさぎは舌で世界を知覚する》1998年、当館蔵
田澤茂《魑魅魍魎・銀》1999年、当館蔵
伊藤彬《山水-行旅3》1998年、当館蔵
三瀬夏之介《空虚五度》(部分)2012年、当館寄託
石井礼子《私の周囲 忙しい日2》2002年、当館寄託
渡辺千尋《奇妙な来客》1978年、当館蔵