1950~60年代にかけて日本画の変革が目指され、欧米の絵画を参照した堅牢な造形や力強いマチエール、抽象表現が取り入れられました。本展では当館の所蔵品の中からこの時期に制作された作品約50点を展示し、その造形的な特徴の一端をご紹介します。
北澤映月 花 北澤映月《花》1954年、当館寄託

概要

1950~60年代の日本画-造形への挑戦

  • 会期   2024年4月6日(土曜日)~6月2日(日曜日) 
  • 休館日  月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火曜日)、5月7日(火曜日)
  • 開館時間 9時30分~17時0分(入場は16時30分まで)
  • 主催   平塚市美術館
  • 会場   平塚市美術館 展示室2
  • 観覧料  一般 200(140)円/高大生 100(70)円/中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
※毎週土曜日は高校生無料
※各種障がい者手帳の交付をうけた方と付添1名は無料
※65歳以上で平塚市民の方は無料、市外在住者は団体料金(年齢・住所を確認できるものをご提示ください)

担当:家田奈穂(当館学芸員)

詳細

戦後まもなく、それまでの伝統的な日本画のあり方に危機感をつのらせた画家たちが新たな表現を模索するようになりました。1948年には「世界性に立脚する日本絵画の創造を期す」という宣言のもと、「創造美術」(現・創画会)が結成されます。日本画の革新運動は、新興の美術団体のみならず既存の団体を含む日本画壇全体におよび、戦後に台頭してきた若い画家たちを中心に、1950年代から60年代にかけてさまざまな試行錯誤が重ねられました。日本画の伝統に拘泥せず、画壇に新風を吹き込もうとした画家たちが参照したのは、欧米の絵画作品でした。その堅牢な造形や油絵具のもつ力強いマチエール、あるいは当時注目を集めていた抽象表現が取り入れられるなど、「革新」の呼び声のもと、一時代を象徴する作風が生み出されました。結果として日本画は、同時代の洋画の造形に接近することになり、画材こそ違えども、日本画と洋画の造形的な境目があいまいになりました。

本展は、当館の所蔵品の中から創画会、日展、院展で活躍した日本画家を中心とした1950~60年代の作品のほか、同時期に制作された洋画を加えた約50点を共に展示することで、この時期の日本画の造形的な特徴の一端を明らかにしようとするものです。

展覧会のみどころ

1.1950~60年代の日本画壇をリードした美術団体・創造美術(現・創画会)のメンバー・山本丘人、工藤甲人らの作品を紹介

湘南地域には、多くの画家が移住し、アトリエを構えました。特に1948年に結成された創造美術は、その中心となった山本丘人が大磯で制作していたことから同団体に所属する画家が多く集まりました。平塚市美術館も同団体の所属作家の作品を積極的に収集してきました。その収集の成果の一端を展示します。

2.再整備事業のために閉場している国立劇場所蔵の小倉遊亀、加山又造、上村松篁らの日本画の大作8点を公開

2023(令和5)年10月末に再整備事業のために国立劇場が閉場しました。劇場のロビー等を華やかに彩っていた日本画は、日展、院展、創画会など各美術団体に所属した実力のある日本画家たちが展覧会に出品するために描いた力作ぞろいです。本展では、その中から8点を公開します。

3.1950~60年代に制作された日本画と洋画を併せて展示

日本画家と洋画家が西洋美術を参照しながら作品制作を行ったため、用いる材質は異なれど、画面の構成やマチエールなどの造形面が非常に似通うようになったのが1950~60年代です。本展では同時期に制作された日本画と洋画を併せて展示することで、日本画の造形的な特徴の一端を際立たせます。

関連事業

当館学芸員によるギャラリートーク

日時:4月13日(土曜日)、5月12日(日曜日) 14時0分~14時40分
場所:展示室2

※申込不要、要観覧券

出品作品

小倉遊亀 月 小倉遊亀《月》1955年、当館寄託【日本芸術文化振興会(国立劇場)蔵】
加山又造 紅鶴 加山又造《紅鶴》1964年、当館寄託【日本芸術文化振興会(国立劇場)蔵】
伊藤万燿 女 伊藤万燿《女》1968年、当館蔵
工藤甲人 愉しき仲間1 工藤甲人《愉しき仲間(一)》1951年、当館蔵
益井三重子 マリちゃんと猿 益井三重子《マリちゃんと猿》1955年、当館蔵
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