様々なつながりの中で成り立ってきたわれわれの社会は新型コロナの流行に伴い、人々の関係が疎遠になってきた現状があります。本展では改めて「父子」「師弟」「仲間」もしくは「個人・社会」「人間・自然」、作品同士の共通点など様々なつながりに光をあて、収蔵作品の新たな魅力を発見し、地域や社会の来し方行く末を考察します。
概要
つながるコレクション+新収蔵品展
- 会期 2024年6月8日(土曜日)~9月8日(日曜日)
- 休館日 月曜日(ただし7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火曜日)、8月13日(火曜日)
- 開館時間 9時30分~17時0分(入場は16時30分まで)
- 主催 平塚市美術館
- 会場 平塚市美術館 展示室2
- 観覧料 一般 200(140)円/高大生 100(70)円/中学生以下無料
※毎週土曜日は高校生無料
※各種障がい者手帳の交付をうけた方と付添1名は無料
※65歳以上で平塚市民の方は無料、市外在住者は団体料金(年齢・住所を確認できるものをご提示ください)
担当:勝山滋(館長代理)
詳細
数年来の新型コロナウィルス感染症の流行は、人と人との関係を疎遠にし、人々の生活様式まで変質させてきました。一方、元来われわれの社会や地域は、様々なつながりのなかで成り立ってきました。「人間」という文字が人と人との間と書くように、交流しつながりをもつことは重要であり、改めて今、様々な関係性のなかで現代社会を見つめ直すことが求められていると言えるのではないでしょうか。
本展と同時開催となる作家、キャビンカンパニーは「夫婦」というつながりがありますが、収蔵作品を見渡すと「父子」や「師弟」、「仲間」といった作家の関係、さらに「個人・社会」、「人間・自然」、作品どうしの共通点など様々な「つながり」を見出すことができます。こうした切り口に新たな光を当てることで、収蔵作品の新たな魅力を発見し、さらに広くは地域や社会の来し方行く末を考えるよすがとしたいと思います。
こうした趣旨のもと、34作家、70点の作品を全4章にわけ構成します。その内訳は1.序章(人間・自然)、2.人と人とのつながり、3.緞帳からつながるコレクション(地域とのつながり)、4.新収蔵品展です。
序章では、人間と自然のつながりをテーマとし、外出を控えてきたわれわれが戸外に出、解放感と明るい陽光のもと自然に目を向け、新たにその空気感や季節を発見していくような広がりのある作品を紹介します。またSDGsの観点を含め、環境問題をテーマとした作品として米山幸助《Plastic Planet》を展示します。
2章は、様々な人と人とのつながりをテーマとして、家族を描いた作品、師弟、ともに研鑽する仲間、父子や夫婦といった関係にスポットをあてます。近親者を描き愛情が感じられる作品にはじまり、大磯に住んだ実業家の赤星家の関係者を描いた黒田清輝、安田靫彦の作品、萬鉄五郎のもとで研鑽し湘南の美術を彩った森田勝、原精一、鳥海青児、山下大五郎を取り上げます。
3章は、地域とのつながりがある作品として、旧市民センターの緞帳として親しまれ、長く本庁舎に掲出されてきた本荘赳「平塚風景」の原画、中央公民館大ホールの緞帳原画である工藤甲人「アンドロメダ」、平塚駅南口に設置された澤田政廣「人魚の像」の原画をはじめ、高良真木「ふしぎなおはなし」の絵本原画、岸田劉生による雑誌「棋道」原画を展示します。加えて地域どうしのつながりとして、平塚市が姉妹都市提携を結んだリトアニア・カウナス市との交流を取り上げ、2022年に生誕百年を迎えて紹介されることの多い映像作家ジョナス・メカスを取り上げ、1983年制作の版画(ときのわすれもの所蔵)を展示し、会期中に関連事業として作品(リトアニアへの追憶の旅)を上映します。
4章では、2023年度に新たに収蔵した作品を展示します。
父子で彫刻を手がけた斎藤義重、史門、妻を描いた木下孝則など、収蔵にいたった作品は所蔵家と美術館の信頼関係やつながりから収められました。市内の企業、湘南アルテックからの寄付金によって購入が叶った村上早作品などもお披露目します。
さまざまにつながっていく多彩なコレクションをどうぞお楽しみください。
本展と同時開催となる作家、キャビンカンパニーは「夫婦」というつながりがありますが、収蔵作品を見渡すと「父子」や「師弟」、「仲間」といった作家の関係、さらに「個人・社会」、「人間・自然」、作品どうしの共通点など様々な「つながり」を見出すことができます。こうした切り口に新たな光を当てることで、収蔵作品の新たな魅力を発見し、さらに広くは地域や社会の来し方行く末を考えるよすがとしたいと思います。
こうした趣旨のもと、34作家、70点の作品を全4章にわけ構成します。その内訳は1.序章(人間・自然)、2.人と人とのつながり、3.緞帳からつながるコレクション(地域とのつながり)、4.新収蔵品展です。
序章では、人間と自然のつながりをテーマとし、外出を控えてきたわれわれが戸外に出、解放感と明るい陽光のもと自然に目を向け、新たにその空気感や季節を発見していくような広がりのある作品を紹介します。またSDGsの観点を含め、環境問題をテーマとした作品として米山幸助《Plastic Planet》を展示します。
2章は、様々な人と人とのつながりをテーマとして、家族を描いた作品、師弟、ともに研鑽する仲間、父子や夫婦といった関係にスポットをあてます。近親者を描き愛情が感じられる作品にはじまり、大磯に住んだ実業家の赤星家の関係者を描いた黒田清輝、安田靫彦の作品、萬鉄五郎のもとで研鑽し湘南の美術を彩った森田勝、原精一、鳥海青児、山下大五郎を取り上げます。
3章は、地域とのつながりがある作品として、旧市民センターの緞帳として親しまれ、長く本庁舎に掲出されてきた本荘赳「平塚風景」の原画、中央公民館大ホールの緞帳原画である工藤甲人「アンドロメダ」、平塚駅南口に設置された澤田政廣「人魚の像」の原画をはじめ、高良真木「ふしぎなおはなし」の絵本原画、岸田劉生による雑誌「棋道」原画を展示します。加えて地域どうしのつながりとして、平塚市が姉妹都市提携を結んだリトアニア・カウナス市との交流を取り上げ、2022年に生誕百年を迎えて紹介されることの多い映像作家ジョナス・メカスを取り上げ、1983年制作の版画(ときのわすれもの所蔵)を展示し、会期中に関連事業として作品(リトアニアへの追憶の旅)を上映します。
4章では、2023年度に新たに収蔵した作品を展示します。
父子で彫刻を手がけた斎藤義重、史門、妻を描いた木下孝則など、収蔵にいたった作品は所蔵家と美術館の信頼関係やつながりから収められました。市内の企業、湘南アルテックからの寄付金によって購入が叶った村上早作品などもお披露目します。
さまざまにつながっていく多彩なコレクションをどうぞお楽しみください。
展覧会のみどころ
1.あの名品が久しぶりに公開!
三岸好太郎「海洋を渡る蝶」、福田美蘭「見返り美人 鏡面群像図」などの名品に加え、安田靫彦「赤星母堂像」(20年ぶりの公開、新古典主義の画風を開花させた昭和戦前期の佳作)、今村紫紅「熱国の巻(小下図)」(15年ぶりの公開、インドの風景を絵巻に表した代表作をしのぶ下絵)など久しぶりに公開されるイチオシの作品をご覧いただけます。2.地域とのつながり
本展では、さまざまなつながりをテーマに作品を展示します。そのうち、地域とのつながりをテーマに、旧・市民センターの緞帳として親しまれ、長く平塚市本庁舎に掲出されていた本荘赳「平塚風景」の原画、中央公民館大ホールの緞帳原画である工藤甲人「アンドロメダ」、平塚駅南口に現在設置されている澤田政廣「人魚の像」の原画を展示します。平塚市にこういった身近なゆかりの作品があるのかと地域文化を感じていただければ幸いです。
3.姉妹都市提携を結んだリトアニアのカウナスを知る
地域どうしのつながりとして、このたび姉妹都市提携を結んだカウナス市(リトアニア共和国)にちなんで、2022年に生誕100年を迎えて日本でも広く紹介されている映像作家、ジョナス・メカスの版画作品を展示し、会期中に関連事業として映像作品(リトアニアへの追憶の旅)を上映します。4.SDGs/自然や環境に目を向けた作品を知ろう
自然と人間というつながりをテーマに、われわれのまわりの空、海、雲、樹木や自然を描いた作品に加えて、江の島海岸に漂着したプラごみを用いた米山幸助の作品を紹介します。5.新収蔵作品の魅力
当館では昨年、市内企業からいただいた寄附金によって現在注目を浴びる版画家、村上早の作品2点を購入したほか、寄贈、寄託あわせて43点を収蔵しました。本展ではこのうち19点をお披露目します。日本画家、内田あぐりの「地への漂流」、斎藤義重の晩年の代表作「複合体(T&Sギャラリーのための)」など、充実したコレクションをぜひご覧ください。
関連事業
当館学芸員によるギャラリートーク
日時:6月22日(土曜日)、8月17日(土曜日) 14時0分~14時40分
場所:展示室2
※申込不要、要観覧券
ジョナス・メカス映像作品上映会
「リトアニア追憶への旅」(1972年 87分 16ミリフィルム)
日時:未定
場所:ミュージアムホール
出品作品
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