平塚市美術館では日本美術院で活躍した日本画家・北澤映月(京都生、1907-1990)の作品、下図、資料類の一括寄贈を受けました。それをきっかけに、このたび33年振りの回顧展を開催し、代表作および貴重な資料を含む約150点により初期から晩年までの映月の画業を振り返ります。

概要
没後35年 北澤映月展
- 会期 2025年10月11日(土曜日)~11月30日(日曜日)
- 休館日 月曜日(ただし10月13日、11月3日、11月24日は開館)、10月14日、11月4日、11月25日
- 開館時間 9時30分~17時0分(入場は16時30分まで)
- 主催 平塚市美術館
- 協賛 神奈川中央交通株式会社、株式会社葦
- 会場 平塚市美術館 展示室2
- 観覧料 一般 900円(720円)/高大生 500円(400円)/中学生以下無料
※毎週土曜日は高校生無料
※各種障がい者手帳の交付を受けた方と付添1名は無料
※65歳以上で平塚市民の方は無料、市外在住の方は団体料金(年齢・住所を確認できるものをご提示ください)
担当:家田奈穂(当館学芸員)
詳細
北澤映月(きたざわえいげつ・1907-1990)は京都市に生まれ、上村松園(うえむらしょうえん)や土田麦僊(つちだばくせん)に師事して本格的に日本画家として歩み始めます。麦僊没後の1938年から再興院展に入選を重ね、1941年には小倉遊亀(おぐらゆき)に続く女性二人目の日本美術院同人に推挙されました。
一貫して女性像をテーマとし、はじめ性格描写に優れた人物表現を行っていましたが、戦後は現代的な女性風俗を扱いながら、西洋絵画の影響を受けて重厚な色面表現へと移行します。この間、小林古径(こばやしこけい)や安田靫彦(やすだゆきひこ)の薫陶を受けつつ制作に邁進し、1960年には住み慣れた京都を離れて東京に移住しました。1970年代にはいると、細川ガラシャや淀君などの歴史人物に取材して、そこに映月独自の女性観を加味した華麗かつ情感豊かな画境へと達しました。現代的で清新な作品には、装飾性と写実性がバランスよく共存し、映月が志向した健康的で知的な女性が巧みな構成や艶やかな色彩によって表されています。
本展は、初期から晩年までの代表作のほか、日本画を制作する上で重要な下図や写生、印章、書簡などの貴重な資料を含む約150点により映月の真摯な画業の歩みを紹介するものです。北澤映月没後35年の節目に、個展としては1992年の追悼展以来33年ぶり、神奈川県内では初の本格的な回顧展となる本展で、生き生きとよみがえるその魅力的な女性表現をお楽しみください。
一貫して女性像をテーマとし、はじめ性格描写に優れた人物表現を行っていましたが、戦後は現代的な女性風俗を扱いながら、西洋絵画の影響を受けて重厚な色面表現へと移行します。この間、小林古径(こばやしこけい)や安田靫彦(やすだゆきひこ)の薫陶を受けつつ制作に邁進し、1960年には住み慣れた京都を離れて東京に移住しました。1970年代にはいると、細川ガラシャや淀君などの歴史人物に取材して、そこに映月独自の女性観を加味した華麗かつ情感豊かな画境へと達しました。現代的で清新な作品には、装飾性と写実性がバランスよく共存し、映月が志向した健康的で知的な女性が巧みな構成や艶やかな色彩によって表されています。
本展は、初期から晩年までの代表作のほか、日本画を制作する上で重要な下図や写生、印章、書簡などの貴重な資料を含む約150点により映月の真摯な画業の歩みを紹介するものです。北澤映月没後35年の節目に、個展としては1992年の追悼展以来33年ぶり、神奈川県内では初の本格的な回顧展となる本展で、生き生きとよみがえるその魅力的な女性表現をお楽しみください。
展覧会のみどころ
1.待望久しい県内初の回顧展
北澤映月の没後35年となる本年、全国では1992年の東京ステーションギャラリー・京都市美術館以来33年振り、神奈川県内では初の回顧展として開催いたします。2.貴重な初公開
画業初期の桜園時代の初公開作品《(若衆)》《(少女)》をはじめ、《(待月)》1939年頃、《婦女曼荼羅》1955年、《(羅)》1957年頃など、回顧展では初公開の作品を複数紹介いたします。※作品タイトルに( )があるものは回顧展において初公開される作品です。画家による命題がないため、仮題です。
3.創作のヒミツを知る
作品と、下図やスケッチを見比べることで、画家が制作において留意していた造形上の工夫、創作のヒミツに迫ることができます。


関連事業
シンポジウム「映月を考える、映月から考える」(申込不要、先着順)
開催日:10月18日(土曜日)時間:13時30分~16時30分(開場 13時0分)
会場:ミュージアムホール
定員:150名
参加費:無料
内容:本展出品作のほか、当館が受託した下図、スケッチ、手紙、印章を含む資料類をもとに、作家像や、戦前から戦後にかけての作品制作のありようと様式の変容を検証し、映月の日本画壇における位置づけを考えるシンポジウムを開催します。

当館学芸員によるギャラリートーク(申込不要、要観覧券)
日時:10月25日(土曜日)、11月8日(土曜日)各日14時0分~14時40分場所:展示室2
ワークショップ「日本画講座」(事前申込制、抽選)
講師:岸野香氏(女子美術大学美術学科日本画専攻教授)藤井聡子氏(女子美術大学美術学科日本画専攻非常勤講師)
日時:11月16日(日曜日)10時30分~15時30分
対象:中学生~一般
内容:日本画制作における「大下図」について学び、「下図」から「本画」への手順にしたがって制作を体験します。
対話型鑑賞会「おしゃべり美術館にあーつま~れ」(事前申込制、要観覧券)
日時:10月25日(土曜日)11時0分~11月22日(土曜日)11時0分~/14時0分~
場所:展示室2
内容:鑑賞ボランティア・ひらビあーつま~れのメンバーと一緒にお話ししながら鑑賞します
※詳細・申込方法はこちら↓↓

ぬいぐるみおとまり会(事前申込制、要観覧券)
日時:お預かり日 10月25日(土曜日)15時0分~16時0分お迎え日 11月8日(土曜日)15時0分~16時0分
内容:お気に入りのぬいぐるみが美術館を探検。お預かり日にはぬいぐるみと一緒に展覧会をまわり、お迎え日には皆でおとまりの様子をスライドショーで鑑賞します。おとまりの様子は美術館のインスタグラムでも公開します。
定員:10名(1人につき、ぬいぐるみ1体)
お申込方法:e-kanagawa平塚市電子システム(下記リンク)より、お申し込みください。
https://dshinsei.e-kanagawa.lg.jp/142034-u/offer/offerList_detail?tempSeq=102904
お申込期間:9月24日(水曜日)~10月15日(水曜日)
展覧会図録

【内容】
ごあいさつ p.5
1章 模索 松園、麦僊のもとで p.9
コラム
松園塾における北澤映月の絵画学習について 田所泰 p.16
《待月*》にみる日本画の下図と本画 荒井経 p.34
書簡にみる画家像―北澤映月関係資料から 𠮷井大門 p.44
2章 挑戦 京のみやびと現代性のはざまで p.53
コラム
マドンナのまなざしを超えて 映月、戦後の葛藤 篠原聰 p.82
3章 成熟 時代考証と現代性の融合 p.89
コラム
下図の鑑賞 角田拓朗 p.94
北澤映月について 家田奈穂 p.122
落款 p.135
略年譜 p.139
参考文献 p.156
出品目録 p.170
B5変形判、縦25.8センチメートル、横19.2センチメートル 全176頁
編集 家田奈穂(平塚市美術館)
制作・印刷 ニューカラー写真印刷株式会社
発行日 2025年10月11日
発行者 平塚市美術館(C)2025
価格2,000円(税込)
ごあいさつ p.5
1章 模索 松園、麦僊のもとで p.9
コラム
松園塾における北澤映月の絵画学習について 田所泰 p.16
《待月*》にみる日本画の下図と本画 荒井経 p.34
書簡にみる画家像―北澤映月関係資料から 𠮷井大門 p.44
2章 挑戦 京のみやびと現代性のはざまで p.53
コラム
マドンナのまなざしを超えて 映月、戦後の葛藤 篠原聰 p.82
3章 成熟 時代考証と現代性の融合 p.89
コラム
下図の鑑賞 角田拓朗 p.94
北澤映月について 家田奈穂 p.122
落款 p.135
略年譜 p.139
参考文献 p.156
出品目録 p.170
B5変形判、縦25.8センチメートル、横19.2センチメートル 全176頁
編集 家田奈穂(平塚市美術館)
制作・印刷 ニューカラー写真印刷株式会社
発行日 2025年10月11日
発行者 平塚市美術館(C)2025
価格2,000円(税込)
出品作品






